EC-CUBEとShopifyの機能や料金比較を解説【EC-CUBEは難易度が高いです】

EC-CUBEとShopifyの設計思想を対比した概念図

「EC-CUBEの名前はよく聞くけど、どうなの?」
「Shopifyは海外発のサービスだけど、日本のECに向いてる?本当にいける?」

と思っている方も多いのではないでしょうか。

先に結論を言ってしまうと、EC-CUBEとShopifyは「どちらが優れているか」ではなく「自社の状況にどちらが合うか」で選ぶものです。

ただし、社内にエンジニアがいない企業の場合、EC-CUBEの運用難易度は想像以上に高くなりがちです。
ここは正直にお伝えしておきたい点です。

本記事を読み終えたあとには、以下のことが判断できるようになるはずです。

  • EC-CUBEとShopifyの設計思想の根本的な違い
  • 料金体系の構造と、月額だけでは見えないコストの正体
  • 機能面で何が標準対応で、何にアプリやプラグインが必要か
  • EC-CUBEの「難易度が高い」と言われる具体的な理由
  • 自社に合うプラットフォームを判定するためのチェックリスト

どちらかを一方的に推すつもりはなく、判断に必要な材料を理路整然と並べていくつもりなのですが、正直に言いますと弊社は圧倒的なShopify推しです。
売るための仕組みが極めて強いのと、コーディングによるデザインカスタマイズも柔軟です。

ただ、色々と実態を踏まえて整理していきます。

目次

EC-CUBEとShopifyは「設計思想」がまったく違う

EC-CUBEとShopifyを比較する前に、まず押さえておくべき前提があります。
この2つはそもそもの設計思想が根本から異なるプラットフォームです。

雑に言えば、EC-CUBEは「自分で家を建てる(設計も施工も自由だが、メンテナンスも全部自分)」、Shopifyは「管理付きマンションに住む(自由度はやや下がるが、設備の保守は管理会社がやってくれる)」というイメージが近いでしょう。

この違いを理解しないまま比較すると、「EC-CUBEは無料だから安い」「Shopifyは簡単だから機能が弱い」といった誤解に陥りやすくなります。

EC-CUBEの3つの形態を整理する

EC-CUBEを検討するときに、最初に混乱しやすいのが「どのEC-CUBEの話をしているのか」という点です。
EC-CUBEには大きく分けて3つの形態があり、それぞれコスト構造と運用負荷がまったく異なります。

EC-CUBEの3形態をコストと運用負荷で整理した図
EC-CUBEは形態によってコスト構造と運用負荷が大きく異なる

EC-CUBEの形態別比較(2026年5月時点)

形態ソフト費用サーバー保守・セキュリティカスタマイズ自由度
ダウンロード版(オープンソース)無料自社で用意自社責任非常に高い
クラウド版(ec-cube.co)月額約6,800円〜(Liteプラン)提供元が管理提供元が一定範囲で対応制限あり
旧バージョン(2系・3系)無料自社で用意公式サポート終了リスク高いが保守困難

EC-CUBEクラウド版の料金について
EC-CUBE公式サイト(ec-cube.co)によると、Liteプランは月額約6,800円〜、Standardプランは月額約49,800円〜84,800円とされています(2026年5月時点)。
「〜」の表記があるため上限が明示されていません。最新の料金体系はEC-CUBE公式サイトでご確認ください。

経験上、「EC-CUBEは無料で使える」という情報だけで導入を決めてしまう方が少なくありません。
しかし無料なのはダウンロード版のソフト本体だけであり、実際にECサイトとして稼働させるには、サーバー費用・SSL証明書・初期構築費・保守費用が別途かかります。

ここを見誤ると、「思ったより全然安くなかった」という事態になりがちです。

Shopifyは「サーバーもセキュリティもお任せ」のSaaS型

Shopifyはカナダ発のクラウド型ECプラットフォームで、月額料金を払えばサーバー・セキュリティ・システムのアップデートまで全部込みという設計になっています。

自社でサーバーを契約する必要がなく、脆弱性が見つかった場合もShopify側が修正パッチを自動で適用してくれます。
この「保守がいらない」という点は、社内にエンジニアがいない企業にとって非常に大きな差になるでしょう。

一方で、EC-CUBEのようにソースコードを自由に書き換えることはできません。
Shopifyが用意した「テーマ」と「アプリ」の枠組みの中で構築するのが基本です。デザインの細部にこだわりたい場合はLiquidというテンプレート言語の知識が必要になりますし、チェックアウト画面の大幅なカスタマイズはPlusプラン(月額約368,000円・2026年5月時点のShopify公式ページ記載価格)でないと対応できません。

設計思想の違いを一言でまとめると
EC-CUBEは「自由度が高い分、全て自分で管理する」プラットフォーム。
Shopifyは「自由度にやや制限がある分、管理はShopifyに任せられる」プラットフォーム。
どちらが良い悪いではなく、自社のリソースと技術力に合うかどうかで選ぶのが正しい判断軸です。

EC-CUBEとShopifyの自由度と管理負荷の天秤図
自由度と管理負荷はトレードオフの関係にある

EC-CUBEとShopifyの料金比較。月額だけでは判断できない理由

「EC-CUBEは無料だからShopifyより安い」。
これは、私が最も多く聞く誤解のひとつです。

実際には、ECプラットフォームの費用は「ソフトの月額料金」だけでは比較できません。
初期構築費、決済手数料、サーバー費、保守費、アプリやプラグインの費用まで含めた「総コスト」で考える必要があります。

EC-CUBEの料金構造(ダウンロード版の場合)

EC-CUBEダウンロード版のソフト本体は、EC-CUBE公式サイトに明記されている通り無料です。
商用利用でもライセンス費用はかかりません。

しかし、実際にECサイトとして稼働させるには以下の費用が積み上がっていきます。

EC-CUBEダウンロード版の費用構造(2026年5月時点の参考値)

費目内容費用の目安
ソフト本体EC-CUBEダウンロード版無料
サーバー費推奨スペック(PHP 7.4以上・MySQL 5.7以上・メモリ2GB以上)を満たすサーバーの月額月額数千円〜数万円(サーバー構成による)
SSL証明書Let’s Encrypt(無料)または有料SSL無料〜年間数千円
初期構築費制作会社に依頼する場合。要件の複雑さで大きく変動案件により大きく変動(数十万円〜数百万円規模)
保守・セキュリティ対応費パッチ適用・障害対応・バージョンアップ対応月額数万円〜(パートナー契約による)
決済手数料決済代行会社との個別契約契約する決済代行会社・取引条件により異なる
プラグイン費有料プラグインの購入・更新費数千円〜数万円/個

※上記はあくまで参考値であり、要件・規模・依頼先によって大きく変動します。
特に初期構築費は、「標準テンプレートをほぼそのまま使う」場合と「基幹システムとの連携や複雑な受注フローを実装する」場合で桁が変わります。

これまで支援してきた中小企業の経営者の方からは、「EC-CUBEは無料って聞いたのに、見積もりを取ったら全然無料じゃなかった」という声を本当によく聞きます。
ソフトの「無料」と、運用の「総コスト」は別物だという認識は、最初に持っておいてほしいところです。

EC-CUBEの隠れコストを可視化した氷山図
EC-CUBEの「無料」はソフト代だけで総コストではない

Shopifyの料金構造

Shopifyは月額課金のSaaS型です。
2026年5月時点のShopify公式日本語ページによると、主なプランは以下の通りです。

Shopifyの主要プラン料金(2026年5月時点)

プラン年払い時の月額(税抜き)主な対象
Basic約3,650円個人事業主
Grow約10,100円小〜中規模EC・成長中の事業者
Advanced約44,000円大規模EC・高度な分析が必要な事業者
Plus約368,000円(3年契約)エンタープライズ向け

※ShopifyはUSD建てで運営されており、為替変動・改定により公式日本円価格が変動する可能性があるため、本記事では「約」を付けて記載しています。最新の料金はShopify公式ページでご確認ください。年払い契約の場合、月払いと比較して割引が適用されます(2026年5月時点で25%割引と公式ページに記載)。

月額プランにサーバー費・SSL・基本的なセキュリティ対策が含まれているのがShopifyの大きな特徴です。
ただし、月額プランだけが全コストかというと、そうでもありません。

Shopifyのプラン料金以外にかかる費用(2026年5月時点)

費目内容費用の目安
決済手数料Shopifyペイメント利用時、プランごとに異なる料率参考値:約3.25〜3.55%(カードブランド・プランにより変動。最新料率は公式でご確認ください)
アプリ費用配送日時指定、のし対応、ポイント管理など日本特化アプリ月額数百円〜数千円/アプリ(複数導入で累積)
テーマ購入費有料テーマの場合(無料テーマもあり)買い切りで数千円〜数万円
制作会社への依頼費デザインカスタマイズやアプリ連携を外注する場合依頼範囲により変動

※決済手数料の参考値は、2024年2月改定時点としてkomoju.comが報告した料率です。2026年5月時点での公式最新料率はShopify公式ページで必ずご確認ください。

私がEC支援の現場で見ている限り、日本向けのアプリを3〜5個入れると月額で数千円の追加コストになるケースが多い印象です。
「月額約3,650円で始められる」は事実ですが、実運用時の総コストはもう少し上がると見ておくのが現実的でしょう。

Shopifyの費用をレイヤー構造で示した概念図
Shopifyもプラン月額だけが全コストではない

月商規模で変わるコスト構造の傾向

EC-CUBEとShopifyのコスト構造を比べるとき、見落とされがちなのが月商規模によって有利・不利が入れ替わるという点です。

ざっくりとした傾向を整理してみます。

月商規模別のコスト構造傾向(2026年5月時点)

月商規模傾向
月商約100万円以下Shopifyの方が総コストで有利になりやすい。EC-CUBEは初期構築費とサーバー・保守費の固定負担が相対的に重い
月商約100万〜500万円判断が分かれる領域。カスタマイズ要件が少なければShopify寄り。既存システム連携や複雑な要件があればEC-CUBEの検討余地あり
月商約500万円以上Shopifyの決済手数料(参考値:月商×約3〜3.5%)の累積が大きくなる。EC-CUBEも決済代行会社への手数料は発生するが、契約条件次第で料率を交渉できるため、月商が大きいほどEC-CUBEのコスト面での優位性が高まる傾向がある

この傾向表だけで判断しないでください
上記はあくまでコスト構造の「傾向」です。EC-CUBEの場合、初期構築費用の大小で3年間のTCO(総所有コスト)が大きく変わります。また、EC-CUBEの保守費用は予測しづらく、セキュリティ脆弱性の発生タイミングで想定外のコストが発生することもあります。
Shopifyの場合も、アプリの追加数やテーマのカスタマイズ範囲で総コストは変動します。
「月額料金の比較」ではなく「3年間の総コスト」で考えることが経営判断として肝になります。

月商規模別のコスト優位傾向を示す概念図
月商規模によってコスト構造の有利・不利は入れ替わる

EC-CUBEとShopifyの機能比較。決済・配送・日本の商慣行への対応をどう見るか

料金の次は機能面です。
ここで大事なのは、「機能がある/ない」の二択ではなく、「標準機能で対応できるのか、プラグインやアプリが必要なのか、カスタマイズ開発が要るのか」という3段階で見ること。

この段階の違いが、そのまま追加コストと運用の手間の違いに直結します。

EC機能対応の3段階を示すピラミッド図
「できる/できない」より「どの段階で対応するか」が判断のカギ

決済機能の違い

EC-CUBEは、2026年にリリースされたEC-CUBE 4.3.1で「EC-CUBE Payment Plus」が標準搭載されました(PR TIMESのプレスリリースで発表)。
3Dセキュア2.0に初期対応した決済機能が最初から使えるようになり、従来のように決済代行会社への個別申込や複雑な設定が必要だった手間がかなり軽減されています。

一方、ShopifyはShopifyペイメントが組み込まれており、管理画面から有効化するだけでクレジットカード決済が使えます。
コンビニ決済、PayPay、楽天Pay、キャリア決済なども対応済みです。

主な決済手段の対応状況(2026年5月時点)

決済手段EC-CUBEShopify
クレジットカード標準対応(EC-CUBE Payment Plus)標準対応(Shopifyペイメント)
コンビニ決済プラグインで対応Shopifyペイメントで対応
銀行振込標準対応標準対応(手動確認)
代引きプラグインで対応アプリで対応(選択肢が限定的な場合あり)
後払いプラグインで対応(NP後払い等)アプリで対応
Amazon Pay / PayPayプラグインで対応アプリで対応

どちらも主要な決済手段には対応できますが、対応方法が違います。
EC-CUBEは「プラグインを入れて自分で設定」、Shopifyは「アプリをインストールして管理画面で有効化」。
実務的には、技術的な設定の手間と、設定後のトラブル対応を誰がやるかで差が出てきます。

配送・のし・ラッピングなど日本特有の機能

日本のECサイトでは、配送日時指定、のし・ラッピング、複雑な送料計算(地域別・重量別・商品別の組み合わせ)といった細かい対応が求められます。ここが海外プラットフォームとの相性で悩むところです。

EC-CUBEは日本国内で長年使われてきたプラットフォームなので、これらの機能をプラグインで対応できるケースが多く、複雑な送料計算ロジックもカスタマイズで実装可能です。

Shopifyはグローバルプラットフォームのため、こうした日本特有の機能は標準搭載されていません。
ただし、2026年5月時点では日本向けのアプリが充実してきており、配送日時指定はヤマト運輸・佐川急便・日本郵便に対応したアプリが複数存在します。熨斗(のし)・ギフト対応のアプリも出ています。

弊社のお取引先様では、Shopifyサイトで熨斗・ギフト対応を実施しております。

アプリを導入したり、Shopifyのテーマ内部(Liquidコード)のカスタマイズで柔軟に対応することができます。

熨斗だけを有料オプションにしたり、記載したいお名前を注文時に合わせて送ってもらうフローの構築も可能です。

BtoB機能(会員別価格・掛け売り・承認フロー)

BtoB(企業間取引)のECサイトでは、顧客企業ごとの価格設定、掛け売り(後払い)、複数の承認者による発注承認フローなど、BtoCにはない複雑な要件が求められます。

EC-CUBEは、プラグインやカスタマイズにより会員別価格設定・掛け売り・見積書発行・承認フローなどを実装できます。
特に複数の承認者による発注承認のように、日本のBtoB商慣行に合わせた複雑なワークフローが必要な場合は、EC-CUBEのカスタマイズ自由度が活きる領域です。

Shopifyは以前「BtoCに特化したプラットフォーム」という印象が強かったのですが、この状況は変わりつつあります。
2026年4月のPR TIMESプレスリリースによると、Basic・Grow・AdvancedプランでもB2B機能が追加費用なしで利用可能になりました。カスタムカタログの作成、顧客ごとの価格設定、ボリュームディスカウント、支払い条件(Payment Terms)の管理などが実装できるようになっています。

ただし、ShopifyのB2B機能の日本での提供状況・対応範囲は、公式サイトで最新情報をご確認ください。複雑な承認フロー(例:部門長→経理→社長の3段階承認)のような日本のBtoB商慣行に完全対応するには、カスタムアプリ開発が必要になる可能性があります。

BtoB向けECを本格的に構築する場合、自社のBtoBフローがどの程度複雑かを最初に洗い出すことが判断の分かれ目になります。
標準的な会員別価格と掛け売りだけならShopifyでも対応可能な領域が広がっていますが、複数段階の承認フローやERPとの密な連携が必須であれば、EC-CUBEのカスタマイズが現実的な選択肢になるでしょう。

BtoB EC要件の複雑さで分岐する判断フロー
BtoB要件の複雑さによって最適なプラットフォームは変わる

ちなみに、BtoB向けECに限らず、Shopifyと他のネットショップの比較を製造業の視点でまとめた記事も公開しています。製造業や商社でShopifyを検討中の方は参考にしてみてください。

EC-CUBEの難易度が高いと言われる本当の理由

この記事のタイトルにもある通り、EC-CUBEは難易度が高いです。
ただ、「難しい」という言葉が指しているのは、単純に操作画面が複雑だとか、マニュアルが読みにくいとか、そういう話ではありません。

経営判断として見たときに、技術面・保守面・パートナー依存の3つのリスクが重なるという意味での難易度です。
ここは正直にお伝えしておきたい部分なので、具体的に掘り下げます。

EC-CUBEの3つのリスクが連鎖する構造図
EC-CUBEの難易度は3つのリスクが連鎖して生まれる

カスタマイズにはSymfony+PHPの開発知識が必要

EC-CUBE 4系は、Symfonyというフレームワーク上に構築されています。
EC-CUBE公式の開発者向けドキュメントによると、カスタマイズにはPHP、MySQL、そしてSymfonyのDI(依存性注入)コンテナ、Twigテンプレートエンジン、Doctrine ORMといった技術への理解が求められます。

少し専門的な話になりますが、要するに「WordPressを少し触ったことがある」程度のスキルでは、EC-CUBEの本格的なカスタマイズに手を出すのはかなり難しいということです。

標準テンプレートの色やレイアウトを変える程度であれば、HTML/CSSの基礎知識で対応できる場合もあります。
しかし、「基幹システムと在庫データを連携させたい」「独自の受注フローを組みたい」といった本格的な要件になると、専門のエンジニアか制作会社に依頼するしかありません。

こんな判断は危険です
「EC-CUBEは無料だから、まず自分でやってみよう」と考える方がいますが、インストールまではできても、そこからの設定・カスタマイズ・決済連携・テスト・公開までを1人で完遂するのは、技術職でない限りかなり厳しい道のりです。
途中で行き詰まって制作会社に駆け込み、結果的に最初から依頼するより高くついた。そんなケースを何度も見てきました。

セキュリティ脆弱性対応は自社の責任

EC-CUBEダウンロード版を使う場合、セキュリティの脆弱性が発見されたときの対応は、利用者自身の責任になります。

EC-CUBE公式の脆弱性情報ページでは定期的に注意喚起がされており、実際に2026年3月4日にはEC-CUBE 4.1/4.2/4.3で多要素認証バイパスの脆弱性が報告されています。最新版(4.3.0)で修正済みとされていますが、パッチ適用を自社で行う必要があります。

では、これが実務上どういうことを意味するか。

  • 脆弱性情報を定期的にウォッチする体制が必要
  • パッチが公開されたら、テスト環境で検証してから本番に適用する作業が必要
  • 対応が遅れれば、顧客の個人情報やクレジットカード情報が漏洩するリスクがある

Shopifyの場合、こうしたセキュリティ対応はShopify側が自動で行ってくれます。利用者が何かをする必要はありません。
社内にセキュリティ対応ができる人材がいない企業にとっては、この差は決定的に大きいと感じます。

セキュリティ脆弱性対応のEC-CUBEとShopify比較
脆弱性発生時に自社がやるべき作業量の差は大きい

私自身、銀行員時代に法人営業をしていた経験からも、「情報漏洩のリスク管理を誰が担うのか」という論点は経営判断として絶対に外せないと考えています。技術の話ではなく、経営責任の話です。

EC-CUBE 2系を使い続けている場合は要注意
EC-CUBE 2系は公式の脆弱性情報ページでも注意喚起されている通り、サポートが限定的な状態です。新たに脆弱性が発見されても公式の修正パッチが提供されない可能性があります。
現在2系で運用中の場合は、EC-CUBE 4系への移行かShopifyへの乗り換えを早めに検討してください。

開発会社への依存と属人化リスク

EC-CUBEのカスタマイズを制作会社に依頼した場合、その制作会社しかシステムの全体像を理解していない状態に陥りがちです。

担当者が退職した、制作会社との関係が悪化した、あるいは制作会社自体が廃業した。
こうなると、システムの改修や障害対応が一気に困難になります。

実際、私のところにも「以前の制作会社が何をどう作ったのか分からない。引き継ぎ資料もない」という相談が来ることがあります。珍しいケースではなく、EC-CUBEに限らずWebシステム全般で起きやすい問題ですが、EC-CUBEのようにカスタマイズの自由度が高い分、属人化のダメージも大きくなりがちです。

予防策として最低限やっておくべきことを挙げます。

  • 設計書・カスタマイズ内容・プラグイン一覧・サーバー設定の文書を自社の資産として保管する
  • ソースコードの権利帰属を契約書で明確にしておく
  • 制作会社を変更する可能性を想定し、標準的なコーディング規約で開発してもらう

Shopifyの場合、プラットフォーム自体はShopifyが管理しているため、制作会社への依存度は相対的に低くなります。テーマやアプリのカスタマイズを依頼した場合でも、Shopifyの管理画面から基本的な運用は自社で継続できる設計です。

EC-CUBE開発会社への属人化リスクの因果図
制作会社への属人化は3つのシナリオで表面化する

Shopify側にも落とし穴はある。選ぶ前に知っておくべきこと

ここまでEC-CUBEの難易度について率直にお伝えしてきましたが、だからといってShopifyが万能というわけではありません。
公平に伝えるために、Shopifyを選んだ場合に起きやすい落とし穴も整理しておきます。

日本の商慣行対応をアプリで補うと月額コストが膨張する

前のセクションでも触れましたが、Shopifyの標準機能には日本特有の商慣行(のし、配送日時指定、複雑な送料計算、代引き対応など)が含まれていません。
これらをアプリで1つずつ補っていくと、月額のアプリ費用が積み重なり、当初の想定よりコストが膨らむことがあります。

配送日時指定アプリ、のし対応アプリ、複雑な送料計算アプリ。個々のアプリは月額数百円〜数千円程度ですが、3つ4つと重ねると月額1〜2万円近くの追加コストになるケースも全く珍しくありません。

月商がだいたい1,000万円を超えてくる頃には、決済手数料以外のアプリ関連の機能追加で毎月3-4万円くらい使う場合もあります。

けれど、非常に便利です

売るためのマーケティングで欲しい機能は大体何でも揃っていると言っても過言ではないです。

今回は詳細割愛致しますが、
「え、そんなこともできるの?」
と驚くレベルです。

導入前に、自社のECサイトで「日本の商慣行として対応が必須な機能」をリストアップし、それぞれShopifyの標準機能で対応できるのか、アプリが必要なのかを確認しておくといいです。

悩ましい場合には弊社へお気軽にご相談ください

ここを後回しにすると、公開後に「あれもこれも追加」で予算が膨らみます。

Shopifyアプリ費用の積み重なりを示す概念図
日本対応アプリの追加は事前にリスト化して総額を把握すべき

アプリのサービス終了リスクとチェックアウトのカスタマイズ制限

Shopifyのアプリは、Shopify本体ではなく各アプリ開発者が独自に提供しているものです。
つまり、開発者の事業判断でアプリが突然サービス終了する可能性があります。

「配送日時指定に使っていたアプリが急に終了して、代替アプリを探す羽目になった」。
こういったリスクはゼロではありません。業務に不可欠なアプリについては、開発元の信頼性(更新頻度・レビュー評価・提供歴)を事前にチェックしておくのが安全です。

もうひとつ押さえておきたいのが、チェックアウト画面のカスタマイズ制限です。
Shopifyはセキュリティを最高水準で維持するため、チェックアウト画面の入力項目変更やデザインの大幅変更は、Plusプラン(月額約368,000円)でないと基本的にできません。

「決済画面にこの項目を追加したい」「購入フローの順番を変えたい」といった要望がある場合は、事前にShopifyの仕様を確認しておかないと、後から「できない」と分かって困ることになります。御社のECサイトに独自の購入フローが必要かどうか、この段階で一度棚卸ししてみてください。

Shopifyのテーマ選びで失敗しないためのコツについては、Shopifyのテーマ選びのコツをまとめた記事で詳しく解説しています。デザインの自由度が気になる方は参考にしてみてください。

EC-CUBEにもShopifyにも「万能」はない
EC-CUBEは自由度が高い分、技術力と保守体制がなければリスクが大きい。
Shopifyは保守が楽な分、日本特有の要件やチェックアウトのカスタマイズに制約がある。
どちらを選んでも「想定外」はあり得ます。だからこそ、事前に自社の要件を洗い出しておくことが何より大事です。

自社に合うのはどちらか。7つの質問で判定するチェックリスト

ここまでの内容を踏まえて、自社にはEC-CUBEとShopifyのどちらが合うかを判定するためのチェックリストを用意しました。

以下の7つの質問に「はい/いいえ」で答えてみてください。
社内での検討資料としても、そのまま使える形にしています。

EC-CUBEとShopifyの選定判断チェックリスト(2026年5月時点の情報に基づく)

質問「はい」の場合の傾向
①社内にPHPやWeb開発の経験があるエンジニアがいますか?EC-CUBEの検討余地あり
②月商は1000万円以上ありますか(または3年以内にその規模を見込んでいますか)?EC-CUBEのコスト優位性が高まる可能性あり
ただし、戦略的に考えるとShopifyを強く推奨
③既存の会計ソフト・在庫管理・CRMとの連携が必須ですか?EC-CUBEの検討余地あり
Shopifyはアプリ/API連携で対応可能だが複雑になる場合あり
④日本特有の商慣行(のし・配送日時指定・複雑な送料計算・掛け売り等)への対応が多数必要ですか?EC-CUBEの検討余地あり
Shopifyはアプリで対応可能
⑤信頼できるEC-CUBE対応の開発パートナー(制作会社等)を確保できていますか?EC-CUBEの検討余地あり。
確保できない場合はShopify寄り
⑥セキュリティ脆弱性対応を自社(またはパートナー)が迅速に対応できる体制がありますか?EC-CUBEの検討余地あり。
体制がない場合はShopify寄り
⑦将来的に越境EC(海外向け販売)を計画していますか?Shopify寄り(グローバルプラットフォームとしての設計思想上、多言語・多通貨対応に強い)

判定の読み方
①⑤⑥の3問は特に重みが大きい質問です。
この3つのうち1つでも「いいえ」がある場合、EC-CUBEの運用は想定以上に負荷が高くなるリスクがあります。
全体として「いいえ」が多い場合は、Shopifyから始めて事業を成長させ、必要に応じて将来的にEC-CUBEへの移行を検討するという段階的なアプローチも現実的な選択肢です。

EC-CUBE選定チェック7問の重み付けを示す図
①⑤⑥の3問はEC-CUBE選定で特に重要な判断基準

なお、EC-CUBEやShopify以外にも、BASEやSTORESといった選択肢もあります。
Shopifyと他のプラットフォームの違いが気になる方は、ShopifyとSTORESの違いを比較した記事や、ShopifyとBASEの違いを比較した記事も参考にしてみてください。

EC-CUBEとShopifyの比較でよくある質問

EC-CUBEとShopifyの比較とは、自社の事業規模・技術リソース・カスタマイズ要件・保守体制を踏まえて、最適なECプラットフォームを選定するプロセスです。

最後に、この2つのプラットフォームを比較検討する際によく寄せられる質問をまとめました。

QEC-CUBEは無料なのにShopifyは月額がかかる。それでもShopifyの方が安くなることはある?

AEC-CUBEのソフト本体は無料ですが、サーバー費・保守費・初期構築費を合算すると、月商が小さい段階ではShopifyの総コストの方が安くなる傾向があります。EC-CUBEの「無料」はソフト代だけの話であり、運用の総コストは別物です。

QShopifyは海外のサービスだけど、日本のECサイトに本当に使える?

AShopifyは日本語対応済みで、管理画面も日本語で操作できます。決済もクレジットカード・コンビニ・PayPay・楽天Payなどに対応しています。配送日時指定やのし対応は標準機能にはありませんが、日本向けのアプリで補えます。2026年5月時点では日本市場向けの対応が大きく進んでいます。

QEC-CUBEからShopifyへの移行は簡単にできる?

AEC-CUBEからShopifyへの移行の難易度は、EC-CUBEのバージョン・カスタマイズの内容・データ量によって大きく異なります。商品データや顧客データの移行は技術的に可能ですが、独自カスタマイズ部分の再現やURL構造の引き継ぎ(SEO対策)には専門的な対応が必要です。「簡単にできる」とも「できない」とも言い切れず、移行前に制作会社に相談して具体的な見積もりを取ることをおすすめします。

QEC-CUBEとShopifyのどちらがSEOに強い?

AEC-CUBEとShopifyのSEOの強さは、プラットフォームの違いよりも「実装の丁寧さ」に大きく依存します。両方ともメタタグ編集やサイトマップ生成に対応しています。EC-CUBEはURL構造を自由に設定できる利点があり、Shopifyはグローバルなインフラによるページ表示速度の安定性が利点です。どちらを選んでも、メタタグやコンテンツの設定を丁寧に行えばSEO対応は十分に可能です。

QEC-CUBEのセキュリティは大丈夫? 情報漏洩のニュースを見たことがあるけど。

AEC-CUBE自体のセキュリティは、最新バージョン(4系)であれば定期的に脆弱性の修正パッチがリリースされています。ただし、パッチの適用は利用者自身(または契約している制作会社)が行う必要があります。対応が遅れると情報漏洩のリスクが残る構造です。Shopifyの場合はShopify側がセキュリティを一元管理するため、利用者側の保守負担はほぼゼロです。

Q月商がまだ小さい段階ではどちらを選ぶべき?

A月商が小さい段階(目安として月商約100万円以下)では、Shopifyから始めるのが現実的な選択肢になりやすいです。Shopify自体の初期費用はほぼゼロで、月額の固定費も低く抑えられます。事業が成長して月商が大きくなり、カスタマイズの必要性が明確になった段階でEC-CUBEへの移行を検討しても遅くはありません。

Q制作会社に相談したらEC-CUBEを強く勧められた。本当にそれがベスト?

A制作会社にはそれぞれ得意なプラットフォームがあり、EC-CUBEに強い会社はEC-CUBEを、Shopifyに強い会社はShopifyを推奨するバイアスが生じやすい構造があります。1社の提案だけで決めず、できれば2〜3社から提案を受けて比較することをおすすめします。同じ要件に対して異なるプラットフォームが提案された場合は、その理由の違いを深掘りすることで、より客観的な判断ができます。

EC-CUBEとShopifyの選定は、「どちらが優れているか」ではなく「自社の状況にどちらが合うか」で判断するものです。
完璧なプラットフォームは存在しません。大事なのは、3年後の事業ステージを見据えた上で、今の自社のリソースに正直に向き合うことです。

社内にエンジニアがいない、保守体制が組めない、パートナーも見つかっていない。
その状態でEC-CUBEを選ぶのは、率直に言ってリスクが大きい。まずはShopifyで始めて、事業が成長してから次のステップを考える。この段階的なアプローチも立派な経営判断です。

EC選定の段階的アプローチを示すタイムライン図
まずはShopifyで始め事業成長に合わせて判断する選択もある

Shopifyで通販を始めたあとのリピート施策が気になる方は、Shopifyでリピーターを増やすメール術の記事も参考にしてみてください。

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