「また買いたい」と思ってもらえる仕組み、ありますか?
Shopifyでネットショップを運営していて、新規のお客様は来るのに、2回目の購入がなかなか増えない。そんな悩みを抱えていませんか。
広告費をかけて新しいお客様を呼び込むのは大事です。
でも、一度買ってくれた人が「もう一度ここで買おう」と思ってくれる仕組みがなければ、いつまでも集客コストは下がりません。
この記事は、Shopifyでリピーターを増やしたい中小企業の経営者や、兼務でEC運営を担当している方に向けて書いています。
Webマーケティングの専門知識がなくても、Shopifyの管理画面で今日から始められるメール施策を、具体的な手順と判断基準つきで整理しました。
この記事を読むとわかること
・リピート率が伸びない原因と、Shopify管理画面での現状確認方法
・購入後フォローメール・カゴ落ちメール・休眠顧客向けメールの設計と配信タイミング
・Shopify標準機能で足りるケースと、外部アプリを検討すべきケースの判断基準
・メール施策で法的リスクを踏まないための確認ポイント
私自身、中小企業のEC立ち上げや運営改善を支援するなかで、「メルマガって何から始めればいいかわからない」「Shopifyの機能で本当にできるの?」という相談を何度も受けてきました。
その経験をもとに、できるだけ噛み砕いて、管理画面の操作レベルまで落とし込んでいます。
リピーターが増えない原因は「放置」にある
新規集客ばかりに予算をかけていないか
広告やSNS運用で新しいお客様を呼ぶことに注力している会社は多いです。
それ自体は間違いではありません。
ただ、一度購入してくれたお客様に対して「次のアクション」を何も用意していない場合、それは売上の芽を自分で摘んでいるのと同じではないでしょうか。
マーケティングの世界では、「新規顧客の獲得コストは、既存顧客の維持コストの5倍以上かかる」とよく言われます。
この数字の正確さは業界や商材で変わりますが、「すでに財布を開いてくれた人にもう一度買ってもらう方が、まったくの新規を連れてくるよりずっと効率がいい」という原則は、ECでも変わりません。

「2回目購入」のハードルが意外と高い理由
EC運営で見落とされやすいのが、「初回→2回目」の壁が、購入ステップのなかでもっとも越えにくいという点です。
3回、4回と買ってくれているお客様は、すでにそのショップに信頼を置いています。
でも、初回購入したお客様はまだ「たまたま買っただけ」という状態。
ここで何もフォローしなければ、他のショップに流れていくのは自然なことでしょう。
裏を返せば、2回目の購入を促す仕組みさえ作れば、その先のリピートは格段にハードルが下がります。
だからこそ、メール施策の最初の目標は「2回目購入」に絞るのが合理的です。

自社の現状を知る。Shopify管理画面でリピート率を確認する方法
施策を打つ前に、まず自社の現状把握が先です。
Shopifyの管理画面には、顧客の購入回数を確認できる機能が標準で備わっています。
- 管理画面の「顧客管理」を開く
- 「セグメントを作成」をクリック
- フィルター条件で「購入数」→「2以上」を設定
- 表示された顧客数が、全顧客数に対して何%かを計算する
この比率がリピート率の目安になります。
業種や商材にもよりますが、あくまで経験上の肌感覚として、中小ECでリピート率が20%を下回っている場合は、フォロー施策が十分に機能していない可能性が高いと感じています。
数字を見る前に施策を始めてしまうと、「そもそも効果が出たのかどうか」を判定できません。
地味ですが、まずはここからです。
Shopifyの標準機能だけでできるリピート施策の全体像
「リピーターを増やすには高額なCRMツールが必要なのでは」と思う方がいますが、中小規模のECであれば、まずはShopifyの標準機能だけでリピート施策を始められます。

ここでは、Shopifyに備わっている3つの機能を整理します。
Shopify Emailとは。月10,000通まで無料のメール配信機能
Shopify Emailは、Shopifyが公式に提供しているメール配信機能です。
管理画面の「マーケティング」メニューからそのまま使えます。
Shopify Emailの主な特徴
・月10,000通まで無料(超過分は1,000通ごとに約1ドル/※料金は変更される場合があるため、最新情報はShopify公式サイトでご確認ください)
・テンプレートが豊富で、デザインの専門知識は不要
・顧客セグメントと連動し、特定の条件に合う人だけに配信できる
・管理画面から離れずに作成・配信・結果確認まで完結する
月商数百万円規模の中小ECであれば、配信頻度にもよりますが、月10,000通の無料枠内で収まるケースが多い印象です。
つまり、追加費用ゼロでメールマーケティングを始められるのが最大のメリットになります。
Shopifyで他のプラットフォームとの機能差や手数料の違いが気になる方は、Shopifyと他のネットショップの比較記事もあわせてご覧ください。
顧客セグメント機能でリピーター候補を抽出する
Shopifyの管理画面には、顧客を条件で絞り込む「セグメント」機能が標準で備わっています。
たとえば、以下のような条件で顧客を分けることができます。
中小ECが最低限作っておきたい4つのセグメント
| セグメント名 | 条件の例 | 用途 |
|---|---|---|
| 新規顧客 | 購入回数 = 1回 | 2回目購入を促すフォローメール |
| リピーター | 購入回数 ≧ 2回 | ロイヤルティ強化・レビュー依頼 |
| 高価値顧客 | 累計購入金額が一定額以上 かつ 購入回数 ≧ 2回 | VIP向け特典・新商品の先行案内 |
| 休眠顧客 | 最終購入から90日以上経過 | ウィンバック(掘り起こし)メール |
セグメント機能では、「購入回数」「最終購入日」「累計購入金額」などの条件を組み合わせられます。
さらに、抽出した顧客に「タグ」を付けておくと、後から別の施策でも素早く対象を特定できます(タグは最大250個まで設定可能。※上限数は変更される場合があります)。
最初から完璧なセグメント設計を目指す必要はありません。
まず「新規」と「リピーター(2回以上)」の2つに分けるだけでも、送るメールの内容は大きく変わります。

Shopify Flowで「購入後メール」を自動化する
Shopify Flowは、「もし○○が起きたら、△△を自動で実行する」というワークフローをノーコードで組める機能です。
リピーター施策で活用する典型的なパターンはこのあたりでしょう。
- 購入完了をトリガーにして、3日後にレビュー依頼メールを自動配信
- 購入回数が2回になった顧客に自動で「リピーター」タグを付与
- 一定期間購入がない顧客をリストアップし、ウィンバックメールの対象にする
手動で「この人にはこのメールを送って…」とやる必要がなくなるので、兼務でEC運営をしている方にとっては、この自動化がもっともありがたい機能だと感じます。

弊社が支援した総合卸売業のShopify EC事例でも、顧客リストを「売上を生む資産」として活用する設計を行いました。
自動化の仕組みを一度作ってしまえば、日々の運用負荷は大きく下がります。
購入後フォローメールの設計。買ってくれた人を逃がさない3段階の仕組み
リピーター施策のなかでも特に費用対効果が高いと感じているのが、購入後のフォローメールです。
すでにお金を払ってくれた人に対するアプローチなので、新規集客と比べて反応率が段違いに良い傾向があります。
以前、あるショップオーナーから「購入直後にサンクスメールを1通送るようにしただけで、レビュー投稿数が目に見えて増えた」と聞いたことがあります。特別なテクニックではなく、ただ「忘れずに声をかけた」だけ。それくらい、ここが手つかずのショップは多いのが実情です。
サンクスメール → レビュー依頼 → 再購入提案の流れ
購入後のフォローメールは、3段階で組むのが基本です。
購入後フォローメール 3段階設計
| 段階 | タイミング | 目的 | 内容の例 |
|---|---|---|---|
| 1. サンクスメール | 購入直後〜2時間以内 | 信頼構築・安心感 | 「ご購入ありがとうございます。商品は○日頃にお届け予定です」+使い方ガイドや保管方法など |
| 2. レビュー依頼 | 購入から5〜7日後 | UGC(口コミ)獲得 | 「商品はお手元に届きましたか? ぜひ感想をお聞かせください」+レビュー投稿リンク |
| 3. 再購入・関連商品の提案 | 購入から10〜14日後 | 2回目購入の促進 | 「こちらの商品もお使いいただけます」+関連商品やアクセサリーの紹介 |
この3段階は「押し売り」ではなく、お客様の購入体験を支える流れとして設計するのがコツです。
サンクスメールで安心してもらい、届いたタイミングでレビューをお願いし、少し時間が経ってから次の提案をする。
このリズムが崩れると、「買った直後に営業メールが来た」という印象になるので気をつけてください。

配信タイミングの目安。何日後に何を送るか
前述の表の通りですが、タイミングについて少し補足します。
レビュー依頼は「商品が届いて、使い始めた頃」が狙い目です。
Shopify公式ブログでも「顧客が商品を受け取ってから数日〜1週間程度が最適」とされています。
配送に2〜3日かかることを逆算すると、購入から5〜7日後というのが現実的な着地点になるでしょう。
再購入提案メールは、購入直後に送ると「押し売り感」が出るため、10〜14日後まで間を空けるのがコツです。
消耗品(サプリメント、食品など)を扱っている場合は、商品の使い切りサイクルに合わせてタイミングを調整してください。
商材による調整が欠かせません
耐久財(家具、機器など)の場合、10日後に「次の商品いかがですか」は早すぎます。
メンテナンス情報や使い方のコツを1〜3ヶ月かけて送り、マインドシェアを維持する設計にした方が長期的なLTV(顧客生涯価値)は上がりやすい傾向があります。

Shopify管理画面での設定手順
購入後フォローメールの自動配信は、Shopify管理画面から設定できます。
操作の流れを簡潔にまとめます。
- 管理画面の左メニュー「マーケティング」→「オートメーション」をクリック
- 「オートメーションを作成する」を選択
- テンプレートから「購入後のフォロー」を選ぶ(カスタムで作成も可能)
- トリガー(「購入完了」)と配信タイミング(「○日後」)を設定
- メールの件名と本文を編集(テンプレートをベースにカスタマイズ)
- 保存して有効化する
テスト配信は省かないでください。
自分のメールアドレスに送って、表示崩れや内容の誤りがないか確認するだけで、事故の大半は未然に防げます。
メールで顧客との接点を設計する考え方は、ECに限らず活用できます。
展示会後のフォローメールの組み立て方も本質は同じで、展示会のアフターフォローをWebで効率化する方法でも詳しく解説しています。
カゴ落ち対策メールで「あとで買う」を「今買う」に変える
カートに商品を入れたまま購入しないで離脱する、いわゆる「カゴ落ち」。
EC業界全体でカゴ落ち率は70%前後とも言われており、放置すれば相当な売上機会を逃している可能性があります。
正直なところ、リピーター施策とカゴ落ち対策は性質が少し違います。
カゴ落ちは「まだ1回目の購入すら完了していない人」への施策だからです。
ただし、カゴ落ちメールによって初回購入を完了してもらうことが、リピーターへの第一歩になります。
「買ってもらう→フォローする→また買ってもらう」の入口として、ここも押さえておいてください。
カゴ落ちメールの仕組みと効果
カゴ落ちメールは、カートに商品を入れたまま離脱したお客様に対して、自動でリマインドメールを送る仕組みです。
Shopifyでは管理画面の「設定」→「チェックアウト」から自動送信を有効にできます。
Shopify公式ブログによれば、カゴ落ちメールを配信するだけで購買率が改善するケースは少なくないとされています。
「買おうとしていたけど、ちょっと手が離れた」「比較検討で他を見ていた」という人には、タイミングの良いリマインドが背中を押す決め手になり得ます。
1時間以内の配信が勝負。ステップ配信の組み方
カゴ落ちメールで反応が取りやすいのは、カゴ落ちが発生してから1〜3時間以内と言われています。
Shopify公式ブログでも「購買意欲が残っている間にカゴ落ちメールを送ることで、ユーザーに商品購入を再検討してもらいやすくなります」と明記されています。
1通だけで終わらせず、段階的に複数回送る「ステップ配信」を組む方が効果的です。
カゴ落ちメールのステップ配信例
| 配信タイミング | 内容の方向性 |
|---|---|
| カゴ落ちから1〜3時間後 | 「カートに商品が残っています」とシンプルにリマインド |
| 24時間後 | 商品の特徴や他のお客様の声を添えて、購入検討を後押し |
| 3日後 | 「在庫が少なくなっています」などの緊急性、または送料無料の案内 |
| 1週間後(最終) | 最後のリマインド。ここで反応がなければ無理に追わない |
しつこい配信は逆効果になります
カゴ落ちメールを5通、6通と送り続けると、「スパム」と認識されて配信停止される恐れがあります。
ステップ配信は最大3〜4通を目安にし、反応がなければそこで止める判断が大事です。

弊社が支援した鋳物製造業のShopify EC事例でも、カゴ落ち対策を含むメール施策を組み合わせた結果、自社ECの成約率改善につながりました。
「購入を迷っている人の背中を押す」のは、特別なテクニックではなく、タイミングと回数の設計がすべてだと感じています。
休眠顧客の掘り起こし。しばらく買っていない人に送るウィンバックメール
購入後フォローメールやカゴ落ち対策は、「最近接点があった人」へのアプローチです。
一方で、一度は買ってくれたのに、その後まったく動きがなくなった人も、リピーター候補としては見逃せません。
この「休眠顧客」に対してもう一度接点を作るのが、ウィンバックメールです。
「休眠」の定義と対象セグメントの作り方
「いつから休眠と見なすか」は商材によって変わりますが、目安として最終購入から90〜180日(3〜6ヶ月)経過している顧客を対象にするケースが多い印象です。条件は自社の購買サイクルにあわせて調整してください。
消耗品(食品、サプリメントなど)であれば、購入周期の1.5〜2倍が経過したタイミングが一つの目安になります。
耐久財(家具、工業用品など)の場合は、半年〜1年後に設定しないと「まだ使っている最中なのに催促が来た」と感じさせてしまうでしょう。
Shopifyの管理画面でセグメントを作る手順は、前のセクションで解説した方法と同じです。
- 「顧客管理」→「セグメントを作成」
- フィルター条件:「最終購入日が90日以上前」
- 必要に応じて「購入回数 = 1回」を追加すると、「1回だけ買って離れた人」に絞れる
- セグメント名を「休眠顧客(90日以上)」などにして保存
割引だけに頼らない3つのアプローチ
ウィンバックメールというと、つい「10%OFFクーポンを送る」ことを最初に考えがちです。
ただ、クーポン一辺倒では、「割引がないと買わない顧客」を育ててしまうことになりかねません。
経験上、ウィンバックメールは以下の3つのアプローチを組み合わせた方が、長期的な利益につながります。
ウィンバックメール 3つのアプローチ
| アプローチ | 内容の例 | 適する場面 |
|---|---|---|
| 1. 新着・改善のお知らせ | 「前回ご購入後に新商品が加わりました」「○○が改良されました」 | 商品ラインナップに変化がある場合 |
| 2. 活用ヒント・情報提供 | 「購入された商品を長く使うための手入れ方法」「季節に合わせた使い方」 | 耐久財・専門品を扱う場合 |
| 3. 限定的な特典 | 「久しぶりのご来店で送料無料」「再訪限定で○○プレゼント」 | 消耗品や食品など、再購入のきっかけが必要な場合 |
ここが分かれ目になるのですが、1通目でいきなりクーポンを出さないこと。
まずは「新しい情報」や「役立つコンテンツ」で再接触し、それでも反応がなかった場合に限定特典を出す。
この順番を守るだけで、ブランドの価値を下げずにリエンゲージメントできます。

ウィンバックメールも「追い込まない」のが鉄則
送る回数は2〜3通まで。それでも反応がなければ、その顧客は「今はタイミングではない」と判断して、半年〜1年後に再度アプローチする方が現実的です。しつこい配信は配信停止率を一気に押し上げます。
Shopify Emailと外部アプリ(Klaviyo等)の使い分け
「Shopify Emailだけで大丈夫なのか、それともKlaviyoのような外部アプリを入れるべきか」。
この判断に迷う方は多いです。
結論から言うと、中小規模のECであれば、Shopify Emailと標準のセグメント機能で十分に始められます。
外部アプリの導入を考えるのは、ビジネスが一定の規模に達してからで遅くありません。
標準機能で足りるケース・外部アプリが必要なケース
実務的にはこう判断しています。以下の表で、自社がどちらに近いか確認してみてください。
メールツール選定の判断基準
| 条件 | Shopify Email(標準) | Klaviyo等(外部アプリ) |
|---|---|---|
| 月間配信通数 | 10,000通以下 | 20,000通以上で超過課金が増えてきた |
| 顧客セグメント数 | 10個未満で運用できている | 20個以上必要(多次元セグメント) |
| ステップメールの複雑さ | 2〜3段階のシンプルな構成 | 複合条件(「3ヶ月未購入 かつ サイト訪問あり」等)の自動化 |
| 分析の粒度 | 開封率・クリック率の基本指標で足りる | A/Bテスト・セグメント別購買転換率の自動集計が必要 |
| チャネル統合 | メールのみ | メール+SMS+ポップアップの統合管理が必要 |
EC支援をしてきた中で強く感じるのは、「ツールを入れること自体が目的になってしまう」ケースの多さです。
Klaviyoは高機能なツールですが、月額費用も発生します(目安として$50〜数百ドル。料金体系は変更されることがあるため、最新情報はKlaviyo公式サイトでご確認ください)。
その投資に見合う規模と運用体制が整う前に導入しても、使いこなせずに持て余すことになりがちです。

移行のタイミングと判断基準
では、外部アプリへの移行をいつ検討するか。目安をまとめます。
外部アプリの導入を検討すべきサイン
・Shopify Emailの無料枠(月10,000通)を毎月超過するようになった
・セグメント設計が「標準の絞り込み」では追いつかなくなった
・「メール経由の売上」を正確にトラッキングしたいが、Shopify標準の分析では不足
・複数の自動化ワークフローが並行して走り、管理が煩雑になってきた
経験上の目安ですが、月商500万円を安定的に超えてきた段階が一つの分岐点になると考えています。
それ以下の規模であれば、Shopify標準機能をきちんと使い切ることに集中した方が費用対効果は高いでしょう。
弊社が支援した食品メーカーのShopify EC事例でも、最初はShopify標準機能で運用基盤を整え、売上規模の拡大に合わせてツール追加を検討するステップを踏みました。
メール施策で絶対に避けるべき落とし穴
メール施策はコストが低く始めやすい反面、法的リスクや運用ミスによる信頼喪失のダメージが大きい施策でもあります。
「知らなかった」では済まない落とし穴を、ここで整理しておきます。
法的リスク。特定電子メール法のオプトイン要件と配信停止義務
日本には「特定電子メール法」という法律があり、マーケティング目的のメール配信には受信者の事前同意(オプトイン)が義務づけられています。
違反した場合には罰則(罰金等)が科される場合があります。詳細は総務省の公式情報や専門家にご確認ください。
「小さい会社だから大丈夫だろう」という考えは通用しません。
特定電子メール法で守るべき3つの義務
1. オプトイン(受信同意)の取得:お客様が明示的にメール受信に同意していること
2. 配信停止(オプトアウト)機能の提供:メール本文に配信停止リンクを含めること
3. 送信者情報の明記:会社名(または個人名)・住所・問い合わせ先をメール本文に記載すること
Shopify Emailのテンプレートには、配信停止リンクや送信者情報を入れる欄が用意されています。
ただ、テンプレートを編集する過程で誤って削除してしまうケースも実務では見かけます。見落としやすい部分なので、配信前のテストで必ず目視確認してください。

セグメント設定ミスで全顧客に誤送信
これは実際によくある事故です。
リピーター向けに「2回目のご購入ありがとうございます」というメールを作ったのに、セグメント指定を忘れて全顧客に配信してしまう。
初回購入のお客様には意味がわからず、配信停止率が一気に跳ね上がることになります。
経験上、ここで差がつくのは「ダブルチェックの仕組みがあるかどうか」です。
- 配信画面で「対象セグメント」と「対象顧客数」を目視確認する
- テスト配信を自分のアドレスに送り、内容が正しいことを確認する
- 可能であれば、作成者と配信承認者を別の人にする(ダブルチェック体制)
手間に感じるかもしれませんが、一度の誤送信で失った信頼を取り戻すのは、はるかに手間がかかります。
クーポン乱発が利益率とブランドを壊す
前のセクションでも触れましたが、改めて強調します。
毎週「20%OFF」のクーポンメールを送り続けると、短期的には売上が増えるかもしれません。
しかし半年後にはどうなるか。お客様は「クーポンが来るまで買わない」という購買行動に変わります。
結果として利益率が下がり、ブランドの「安売りイメージ」が定着してしまう。私自身、この失敗パターンを何度か目にしてきました。
避けるべきクーポン運用
・全顧客に毎週クーポンを配布する
・割引率を徐々に上げて「お得感」を維持しようとする
・クーポン利用率だけを見て「成功」と判断する(利益率を見ていない)
配信前に確認すべき法的チェックリスト
メール施策を始める前、または新しいキャンペーンを配信する前に、以下をチェックしてください。
- チェックアウト画面に「メール受け取り同意」のチェックボックスが配置されているか
- 配信対象リストが「マーケティングメール受信に同意済み」の顧客のみで構成されているか
- メール本文に「配信停止リンク」が含まれているか
- メール本文に「送信者名(会社名)」「住所」「問い合わせ先」が記載されているか
- Webサイトにプライバシーポリシーページがあり、メールアドレスの利用目的が明記されているか
- オプトイン(受信同意)の取得日時・取得方法の記録を保管しているか
このチェックリストをスプレッドシートに転記して、配信のたびに担当者がチェックを入れる運用にしておくと事故を防ぎやすくなります。
Shopifyのリピーター施策でよくある質問
Qメルマガは時代遅れではないですか? LINEの方が効果的?
Aメールマーケティングは時代遅れではありません。メール登録者は自社でコントロールできるリスト資産であり、SNSのアルゴリズム変更に左右されない強みがあります。一方でLINEは開封率が高い(目安として40%以上とも言われている)ため、「メールは全顧客向けの基盤施策、LINEはコア顧客向けの即時接触手段」として併用するのが合理的です。
QShopifyの標準機能だけでリピーター施策は本当にできますか?
AShopify Email(月10,000通まで無料)、顧客セグメント機能、Shopify Flowを組み合わせれば、購入後フォローメール・カゴ落ちメール・基本的なセグメント別配信は実装できます。経験上の目安ですが、月商500万円程度までの規模であれば、外部アプリなしでも施策を回せるケースが多いです。
QCRMツール(HubSpot、Salesforceなど)を別で導入しないとリピート施策はできませんか?
A中小ECの初期〜成長段階では、Shopify標準の顧客管理機能で十分です。CRMツールが必要になるのは、営業・マーケティング・カスタマーサポートを統合管理する必要が出てきた段階です。まずはShopify標準機能で実績を作り、規模に応じてツールを追加する順番が経営的に合理的です。
Qメールの開封率が高ければ施策は成功と言えますか?
A開封率だけでは施策の成否は判断できません。Apple Mail Privacy Protection(MPP)の影響で、実際に読まれていなくても「ゴースト開封」として計上される場合があります。メール施策のKPIは「クリック率」「メール経由の購買数」「リピート購入率」の順で重視してください。開封率は参考指標にとどめるのが安全です。
Qメールの配信頻度はどのくらいが適切ですか?
A商材タイプと顧客セグメントによって異なります。消耗品のBtoCであれば週1〜2回、耐久財であれば月1〜2回、BtoB(法人向け)であれば月1回が目安です。配信頻度を上げすぎると配信停止率が上がるため、最初は少なめから始めて、反応を見ながら調整する方が安全です。
QBtoB(法人向けEC)でもメール施策は有効ですか?
ABtoB ECでもメール施策は有効ですが、BtoCとは設計を変える必要があります。法人顧客は購買サイクルが長く、担当者の異動による連絡先の変更も起きます。配信頻度は月1回程度に抑え、クーポンよりも「業界動向」「新商品の技術情報」「納期・在庫の最新状況」など、購買判断に役立つ情報を中心にしたメール設計が適しています。
Qクーポンを配れば確実にリピーターは増えますか?
A短期的にはリピート購入を促進する効果が期待できますが、常態化すると「クーポンがないと買わない」という購買行動を生み出し、利益率低下とブランド毀損を招くリスクがあります。クーポンは休眠顧客のウィンバックなど限定的な場面で使い、普段はポイントプログラム・限定商品の先行案内・使い方コンテンツなど、割引に頼らない施策を中心に設計してください。
リピーター施策は「仕組み」で回す。まず1つだけ始めてみてください
Shopifyでリピーターを増やすメール施策とは、自社の目的と商材に合ったタイミングで、購入後フォロー・カゴ落ちリマインド・休眠顧客の掘り起こしを、Shopifyの標準機能を使って自動化するプロセスです。
この記事では、Shopify Emailの基本機能から、顧客セグメントの作り方、フォローメールの設計、外部アプリとの使い分け、法的リスクまで一通り整理しました。
ただ、全部を一度にやろうとする必要はありません。
まずは「購入後フォローメールの自動設定」、これ1つだけで十分です。
管理画面の「マーケティング」→「オートメーション」から、今日中に設定できます。
それだけで「買ってくれたのに何もフォローしていない」状態から一歩前に進みます。

リピーター施策は、派手な広告やキャンペーンとは違って、地味だけれど確実に効いてくる「仕組み」の話です。
一度設定すれば自動で回り続け、お客様との関係を静かに深めてくれます。
Shopifyを使ったEC運用やメール施策の設計でお悩みの方は、Shopifyと他ネットショップの比較記事や、弊社の総合卸売業のEC事例もあわせて参考にしてください。



