「ホームページを新しく作ったのに、問い合わせが全然来ない」
「制作会社に任せたはずなのに、公開後のサポートがほとんどない」
こうした相談は、私のところにも頻繁に届きます。
特に製造業や商社などBtoB企業の経営者から多いのが、「前回の制作で失敗したので、今度はちゃんとした会社を選びたい」という切実な声です。
ホームページ制作会社の選び方には、明確な判断基準があります。
ただし、その基準は「デザインが綺麗かどうか」や「制作費が安いかどうか」ではありません。
この記事では、中小企業の経営者や兼務のWeb担当者が、実績のあるホームページ制作会社を見分けるための3つの基準を解説します。
製造業・商社・医療機関など、BtoB寄りの事業を営む方を主な対象としています。
この記事を読むと分かること
・ホームページ制作会社を選ぶときに見るべき3つの基準
・提案・見積もり段階で確認すべきチェックポイント
・避けるべき制作会社のシグナルと、よくある誤解の整理
読み終えた後、「自社にとってどんな制作会社が合うのか」を社内で説明できる状態を目指しています。
ホームページ制作会社選びで「失敗した」と感じる瞬間
ホームページ制作の失敗は、公開直後には気づきにくいものです。
私の経験上、公開から3〜6ヶ月ほど経った頃に「あれ、思っていたのと違う」という違和感が表面化してくる印象があります。
デザインは綺麗なのに問い合わせが来ない
以前、ある商社の経営者から相談を受けたことがあります。
「営業の問い合わせを増やしたくてホームページをリニューアルしたが、全く成果が出ない」という内容でした。
実際にサイトを確認してみると、パソコンで見た第一印象は確かに綺麗でした。
ただ、問題はその先にありました。
制作を担当した会社は、デザインやイラスト制作には長けていたそうです。
しかし、「どうすれば問い合わせにつながるか」というマーケティングの視点は持っていなかった。
依頼主である商社側も、「問い合わせを増やしたい」という目的は伝えていたそうです。
ただ、Web上の導線設計やユーザー行動については詳しくないため、何が問題なのか、そもそも何を確認すればいいのかが分からない状態でした。
正直なところ、こうしたケースは珍しくありません。
Webの世界では、少しでも「分かりにくい」「面倒くさい」と感じた瞬間に、ユーザーはページを離れてしまいます。
「鉄は熱いうちに打て」という言葉がありますが、Webの集客でもまったく同じことが言えると私は考えています。

このケースでは、まず目的の再定義から始めました。
現状のアクセス数、流入経路、ユーザーの着地ページを一つひとつ確認し、ゴールまでの導線を分解して再設計しています。
結果として、サイトの動線見直し・ページ軽量化・一部ページの作り替えを実施し、「問い合わせが全く来ない」という状態を改善することができました。
なお、商社向けにSEOメディアを構築した事例では、こうした「見られているのに成果が出ない」状態を構造的に改善したプロセスを紹介しています。
失敗の原因は「業者選び」ではなく「選び方の基準がなかったこと」
ここで一つ、大事なことをお伝えします。
ホームページ制作の失敗は、「悪い業者に当たった」から起きるのではありません。
多くの場合、選ぶ側に判断基準がなかったことが根本原因です。
先ほどの商社のケースでも、制作会社が手を抜いたわけではないと思います。
その会社はデザインに関しては実力がありました。
ただ、「問い合わせを増やす」という目的に対して、その会社の得意領域が合っていなかっただけです。
制作会社選びで失敗する構造
① 自社の目的が曖昧なまま依頼する
② 制作会社の「得意領域」と自社の目的がズレている
③ そのズレに気づかないまま制作が進む
④ 公開後、数ヶ月経って「成果が出ない」と気づく
つまり、制作会社選びで最初にやるべきことは「いい会社を探す」ではなく、「自社の目的に合った会社を選ぶ基準を持つ」ということです。

では、その基準とは何か。
ここから順を追って整理していきます。
ホームページ制作会社を選ぶ前に整理すべきこと
制作会社を比較する前に、まず自社側で整理しておくべきことがあります。
ここを飛ばしてしまうと、どんなに良い制作会社に依頼しても、完成後に「思っていたのと違う」が起きやすくなります。
目的を4パターンに分けて考える
「ホームページを作りたい」という相談を受けたとき、私がまず確認するのは「何のために作るのか」です。
ここが曖昧だと、制作会社側も提案のしようがありません。
BtoB企業がホームページを作る目的は、大きく4つに分類できます。
| 目的 | 必要な制作会社の特性 | 注意点 |
|---|---|---|
| 名刺代わりのコーポレートサイト | テンプレート型やフリーランスでも対応可能 | 予算を抑えやすいが、独自性には限界がある |
| 問い合わせ・資料請求の獲得 | ターゲット分析・導線設計・SEOの知見がある会社 | 「デザインだけ綺麗」な会社では成果が出にくい |
| 採用ブランディング・採用強化 | 採用コンテンツの設計経験がある会社 | 企業文化の発信や求人票の最適化が必要 |
| EC(BtoB卸・BtoC直販) | 決済・在庫管理・CRM連携の実装経験がある会社 | 既存の基幹システムとの連携検討が発生する |
御社のホームページは、どの目的に当てはまるでしょうか。
「全部やりたい」という気持ちは分かりますが、優先順位をつけることが制作成功の第一歩です。
経験上、目的が複数ある場合は「最も売上に直結する1つ」を最優先にし、残りは段階的に対応するほうが、結果的にうまくいくケースが多いと感じています。

製造業・商社が見落としやすい要件
BtoB企業、特に製造業や商社のホームページには、BtoC(消費者向け)にはない固有の要件があります。
ここを理解していない制作会社に依頼すると、後から大きな手戻りが発生しやすくなります。
- 製品点数が多い場合の情報設計:型番・仕様・カテゴリーが100点を超えるなら、単なるページ羅列ではなく検索性を意識した構造が必要
- 技術情報の見せ方:CADデータ、スペックシート、認証情報など、購買担当者や技術者が判断材料にする情報の整理
- 意思決定者が複数いる前提:購買担当・技術者・経営層それぞれに向けた情報導線の設計
- 多言語対応:海外営業がある場合、翻訳だけでなく現地向けSEOや決済対応まで検討が必要になる
これらの要件は、BtoC向けの制作会社では対応しきれないケースが少なくありません。
「製造業のホームページを作った経験があるか」だけでなく、「製品情報をどう整理し、誰にどう見せるかを設計できるか」まで踏み込んで確認したいところです。

BtoB製造業向けに専門メディアを構築した事例では、まさにこの「技術は一流なのに知られていない」という課題に対して、情報設計から取り組んだプロセスを紹介しています。
ホームページ制作会社の実績を見分ける3つの基準
ここからが、この記事の核になる部分です。
「実績がある制作会社」と一口に言っても、何をもって「実績がある」と判断するかの基準を持っていなければ、ポートフォリオを眺めるだけで終わってしまいます。
制作会社の力量と、自社との相性を見極めるために、以下の3つの基準で階層的に判断することを推奨します。

基準①:同業種での制作経験があるか
最初に確認すべきは、自社と同じ業種(または近い業種)でのホームページ制作経験があるかどうかです。
なぜこれが分かれ目になるかというと、業種ごとに「ホームページに求められるもの」が根本的に異なるからです。
たとえば精密機器メーカーと飲食店では、ターゲットの行動パターンも、掲載すべき情報の種類も、意思決定のプロセスもまったく違います。
製造業なら「型番検索」「スペック比較」「技術資料ダウンロード」が求められますし、商社なら「取扱商品の分類」「仕入先・メーカーとの関係性の見せ方」が課題になることが多い。
ただし、同業種経験がないからといって即座に候補から外す必要はありません。
経験がなくても、「初めての業種ですが、御社のビジネスを徹底的にヒアリングさせてください」という姿勢が見える会社であれば、話を聞いてみる価値はあります。
逆に、同業種経験があると言いながら、具体的にどの部分をどう工夫したかを説明できない会社は、単にテンプレートを使い回しているだけかもしれません。

基準②:制作後の成果を具体的に語れるか
2つ目の基準は、「制作した後、どんな成果が出たか」を具体的に説明できるかどうか。
制作会社のポートフォリオには、「こんなデザインのサイトを作りました」という情報はあっても、「公開後にどんな成果につながったか」まで書かれていることは意外と少ないのが現状です。
もちろん、守秘義務の関係で詳細な数字を出せないケースはあります。
それは仕方がない。
ただ、成果について「何も語れない」会社と、「数字は出せないが、どんな施策で改善したかの考え方は説明できる」会社では、力量に大きな差があります。
成果を語れる制作会社の見分け方
以下のような質問を投げかけてみてください。
「この事例では、公開後にどんな変化がありましたか?」
「その変化は、具体的にどんな施策によるものですか?」
「クライアント側の努力と、御社の施策の貢献はどう分かれますか?」
これらの質問に対して、「ターゲットに合わせてコンテンツ構成を変更した」「CTAの配置を見直した」「キーワード選定からやり直した」といった具体的な施策を説明できる会社は、制作後の成果にまで責任を持って考えている証拠です。
一方、「SEO対策をしました」「デザインを刷新しました」としか言えないなら、作ることがゴールになっている可能性を疑ったほうがいいでしょう。

基準③:ポートフォリオから「情報設計の工夫」が見えるか
3つ目は、少し見る目が必要な基準です。
制作会社のポートフォリオに掲載されているサイトを、「デザイン」ではなく「情報設計」の視点で見るということ。
具体的には、以下の3つを確認してみてください。
- トップページからの導線:製品を探す人、会社情報を知りたい人、採用情報を見たい人、それぞれに対して迷わない導線が設計されているか
- CTA(問い合わせボタン等)の配置:ページの複数箇所にアクション導線が用意されているか。特にスマートフォン表示で問い合わせに辿り着けるか
- 情報の分類・整理:製品数が多い場合、カテゴリー分類が整理されていて、ユーザーが目的の情報にすぐ辿り着けるか
私の経験上、BtoBサイトの成果を最も左右するのは、デザインの美しさではなく「情報設計」の精度だと感じています。

先ほどお話しした商社のケースがまさにそうでした。
パソコンで見れば綺麗なサイトでしたが、スマートフォンには問い合わせボタンすらなかった。
これは情報設計の問題であり、デザインの問題ではありません。
ここまでの3つの基準をまとめます。
| 基準 | 確認すること | 判断のポイント |
|---|---|---|
| ①同業種経験 | 自社と同じ(または近い)業種の制作実績があるか | 経験がなくても「徹底的に理解する姿勢」があるかで補完可能 |
| ②成果の説明力 | 制作後の成果と、その施策を具体的に語れるか | 数字が出せなくても「考え方」を説明できるかがカギ |
| ③情報設計の精度 | ポートフォリオのサイトが、導線・CTA・分類の面で優れているか | スマートフォンで実際に開いてみるのが最も効果的 |
この3つは、制作会社との初期ヒアリングの段階で意識的に確認できるものばかりです。
特別な専門知識は要りません。
「うちの業種の経験はありますか」「成果はどうでしたか」「このサイト、スマホで見てもいいですか」と聞くだけで、かなりの情報が得られるはずです。
提案・見積もりの段階で確認すべき5つのチェックポイント
3つの基準で候補を絞り込んだら、次は提案・見積もりの段階に入ります。
ここが、制作会社の力量と誠実さを最も直接的に測れるフェーズです。
私がこれまでの支援経験から「ここを見ておけば大きなハズレは防げる」と感じている5つのチェックポイントを共有します。
ヒアリングで「何を聞いてくるか」に注目する
制作会社との最初の打ち合わせで、相手がどんな質問をしてくるかを観察してみてください。
これだけで、その会社がどれほど真剣に自社のビジネスを理解しようとしているかが透けて見えます。
力量のある制作会社がしてくる質問の例
・「御社の主要な顧客は誰で、その顧客は何を基準に発注先を選んでいますか?」
・「競合と比べたときの御社の強みは、どこにあるとお考えですか?」
・「今のホームページで、具体的に何が課題だと感じていますか?」
・「月間で問い合わせは何件くらいが目標ですか?」
・「参考にしたいサイトはありますか?」
こうした質問が出てくる会社は、単にサイトを作るのではなく、ビジネスの成果から逆算して設計しようとしていると判断できます。
逆に、「何ページくらい必要ですか」「どんな色がお好みですか」という表面的な質問しか出てこなかったら、テンプレートに当てはめるだけの制作になりかねません。経験上、ここで差がつきます。

見積もり書の内訳を分解して比較する
複数の制作会社から見積もりを受け取ったとき、総額だけで比較するのは危険です。
「A社100万円、B社150万円だからA社が安い」と判断した結果、後から追加費用で逆転する——こういうケースは珍しくありません。
見積もり書を受け取ったら、以下の項目がそれぞれ明記されているかを確認してください。
- デザイン費(トップページ・下層ページの区分)
- ページ制作費(ページ数ごとの単価)
- CMS実装費(WordPress等の構築・初期設定)
- SEO基盤整備費(内部リンク構造・構造化マークアップ等)
- 初期コンテンツ作成費(テキスト・画像の制作)
- 修正対応の回数・範囲
- 公開後の初期サポート期間
- 月額保守費用の内訳(含まれる作業と、追加料金になる作業)
特に見落としやすいのが「何が含まれていないか」です。
「SEO対策込み」と書かれている場合、具体的に何を実施するのか(キーワード調査、内部施策、外部施策、競合分析のどこまでか)を必ず確認してください。
曖昧な場合は、口頭ではなく書面で詳細説明を求めるべきです。

著作権・ドメイン名義・保守契約の3点は契約前に確認を
ここは地味ですが、後から取り返しがつかないトラブルの温床になりやすい領域です。
銀行員時代に法人営業をしていた経験からも、契約まわりの確認不足が企業間トラブルの最大原因だと痛感しています。
契約前に確認すべき3点
① 著作権の帰属
制作代金を支払っても、著作権は自動的に移転しません(著作権法第17条)。
契約書に「著作権は発注者に帰属する」と明記されているか確認してください。
さらに、著作権法第27条(翻案権)・第28条(二次的著作物の利用権)の権利も含む旨の記載と、著作者人格権の不行使条項が入っているかも確認が必要です。
この条項がないと、納品後のサイト修正のたびに制作会社の同意が必要になる可能性があります。
② ドメイン・サーバーの名義
ドメインとサーバーが制作会社名義で契約されている場合、乗り換え時にドメインが返還されないトラブルが報告されています。
原則として自社名義で契約するか、やむを得ず制作会社名義の場合は移管条件を契約書に明記しましょう。
③ 保守契約の内訳と解約条件
月額保守費用に何が含まれるか(セキュリティ更新、バックアップ、テキスト修正、電話対応時間等)を明確にし、解約時の予告期間・違約金も確認してください。
保守費用の透明性について詳しく知りたい方は、HP保守費用の相場と無駄なコストを減らすチェックポイントの記事も参考にしてみてください。

こんな制作会社には注意。避けるべき5つのシグナル
ここまでは「良い制作会社の見分け方」を整理してきました。
ここからは逆に、「この兆候が見えたら立ち止まるべき」という危険信号を共有します。
すべてに当てはまったら即アウトというわけではありませんが、複数が重なる場合は慎重に判断してください。
実績ページが古い、または成果が語られていない
制作会社のWebサイトに掲載されている実績が数年前のものばかりだったり、具体的な事例が1件も掲載されていなかったら、少し立ち止まって考えたほうがいいかもしれません。
もちろん、守秘義務で公開できない実績もあるでしょう。
ただ、複数の事例を提示できないとなると、その会社の直近の活動量や品質に疑問を持つ理由にはなります。
また、実績ページに「こんなサイトを作りました」というデザイン紹介だけで、「その結果どうなったか」が一切触れられていない場合も、成果への意識が薄いことを示唆していると見てよいでしょう。
リース契約を提案してくる
「月額○万円のリース契約でホームページを制作できます」といった提案を受けた場合、契約の法的性質を必ず確認してください。
月額で支払う形式の場合は、それが「リース契約」なのか「月額保守契約」なのかを明確に確認し、解約条件を書面で確認してから判断してください。
「SEO対策込み」の中身を説明できない
「SEO対策込みの金額です」と言われたとき、「具体的にはどんな施策ですか?」と聞いてみてください。
この質問に対して明確な回答が返ってこない場合、実態としては「meta descriptionを入れただけ」「内部リンクを少し整えただけ」というケースも珍しくない、というのが私の実感です。
SEO対策には、キーワード調査、内部施策(サイト構造・表示速度)、コンテンツ施策(記事・ページの充実)、外部施策など複数の層があります。
「込み」と一言で片付けられている場合、そのうちどこまでが含まれるのかをリスト化してもらうのが鉄則です。
さらに2つ、補足しておきます。
その他の注意シグナル
④ 強引な電話営業で接触してくる
制作会社側から突然の営業電話があり、「今ならキャンペーン価格で」のような提案をしてくる場合。
営業活動に比重を置いている制作会社は、制作後の伴走よりも受注が優先される傾向があります。
⑤ 制作会社自身のサイトがスマートフォン対応していない
自社サイトのスマートフォン対応すらできていない制作会社に、御社のサイトを任せるのは不安が残るのではないでしょうか。

「制作費が高い=良い会社」ではない。よくある誤解を整理する
ホームページ制作会社の選び方について相談を受ける中で、繰り返し出てくる誤解が2つあります。
どちらも「なんとなくそうだろう」と思い込みやすいものなので、ここで整理しておきます。
制作費と成果は比例しない
「100万円のサイトと50万円のサイトなら、100万円の方がいいに決まっている」
こう考えたくなる気持ちは分かります。
しかし実際には、制作費の高さとビジネス成果は必ずしも連動しません。
制作費が高くなる理由はさまざまです。
大手制作会社のオフィス賃料・人件費が上乗せされている場合もあれば、大規模なチーム体制(ディレクター・デザイナー・エンジニアが複数名)による稼働コストの場合もあります。
これ自体は悪いことではありません。
ただ、その費用が「自社の目的達成」に直結しているかどうかは、別の問題です。
50万円でも、ターゲット分析と導線設計がしっかりした制作会社はあります。
100万円でも、テンプレートに企業情報を流し込んだだけの成果物が出てくることもある。
制作費を比較するときは、「金額の高低」ではなく「その金額の中に、自社の目的を達成するための戦略と設計が含まれているか」を見てください。

デザインの美しさとBtoBの成果は別軸
これは、この記事の冒頭でお話しした商社のケースがまさに典型例です。
BtoC(消費者向け)であれば、第一印象のデザインが購買意欲に影響する面はあります。
しかしBtoB、特に製造業や商社のサイトでは、訪問者が求めているのは「綺麗なビジュアル」ではありません。
- この会社の製品は、自社の要件に合うスペックか
- 納期や価格帯はどの程度か
- 問い合わせや資料請求はどこからできるのか
- 技術的な裏付け(認証、試験データ等)はあるか
こうした意思決定に必要な情報に、迷わず辿り着けるかどうか。
それがBtoBサイトの成果を左右する本質的な要素だと考えています。
デザインが綺麗であること自体は悪いことではありません。
ただ、デザインの美しさだけを基準にして制作会社を選ぶと、冒頭の商社と同じ結末になりかねないということは覚えておいてください。
ホームページを「作った後」に成果を出すための考え方については、地域名+業種で上位表示するホームページ集客の設計〜運用の型で詳しくまとめています。
「作ったのに問い合わせが来ない」と感じている方は、あわせて読んでみてください。
ホームページ制作会社の選び方でよくある質問
ここからは、制作会社選びに関して実際に多い質問をまとめました。
記事本文で触れきれなかった論点も含めて回答しています。
Qホームページ制作会社に依頼する場合、費用の相場はどのくらいですか?
Aホームページ制作費用の相場は、簡易的なサイトで数万円〜40万円程度、中規模サイトで50万円〜200万円程度、大規模サイトで200万円以上が一つの目安です。ただし、あくまで参考値であり、要件・規模・依頼先によって大きく変動します。見積もりは総額ではなく項目ごとの内訳で比較することを推奨します。
Q制作会社とフリーランス、どちらに依頼すべきですか?
Aホームページ制作の依頼先として、制作会社とフリーランスのどちらが適切かは、自社の目的と要件によって異なります。名刺代わりのコーポレートサイトであれば、フリーランスやテンプレート型でも十分対応可能です。一方、問い合わせ獲得やEC構築など成果を求める場合は、戦略提案・SEO・導線設計の知見を持つ制作会社のほうが成果に結びつきやすい傾向があります。会社の規模よりも、担当者個人の経験と提案力を見極めることが大切です。
Qホームページ制作を依頼する前に、自社で準備しておくべきことはありますか?
Aホームページ制作を依頼する前に、最低限整理しておくべきことは3つあります。①ホームページの目的(問い合わせ獲得、採用強化、ブランド発信など)の明確化と優先順位付け、②ターゲットの具体化(誰に見てもらいたいか)、③予算枠の確定(制作費だけでなく保守・運用費も含めた総額)です。この3点が曖昧なまま依頼すると、制作会社も提案のしようがなく、完成後に「思っていたのと違う」となりやすくなります。
Qホームページの著作権は、制作費を払えば自社のものになりますか?
Aホームページの著作権は、制作費を支払っただけでは自動的に移転しません。著作権法第17条により、著作権は制作した側(制作会社)に帰属します。権利を自社に移すには、契約書に「著作権は発注者に帰属する」旨を明記する必要があります。さらに、翻案権(第27条)・二次的著作物の利用権(第28条)を含む旨と、著作者人格権の不行使条項も記載しておくことを推奨します。
Qホームページを公開すれば、すぐに問い合わせが増えますか?
Aホームページを公開しただけで問い合わせが自動的に増えるケースは、まずないと考えたほうがよいでしょう。公開はスタート地点であり、そこから検索エンジンに認識されるまでの期間、コンテンツの充実、アクセス解析に基づく改善が必要です。SEO施策を継続した場合でも、成果が安定するまで3〜6ヶ月以上かかるケースが多いとされています。公開後に月1回のアクセス解析と改善を続ける体制を、制作段階から計画しておくことを強くおすすめします。
Qホームページ制作で補助金は使えますか?
Aホームページ制作に使える補助金は、IT導入補助金や小規模事業者持続化補助金などが代表的です。ただし、補助金は制度ごとに対象要件・補助率・申請時期が異なり、年度によって変動します。また補助金は後払いのため、制作費は先に自己資金で支払う必要があります。制作会社の説明だけに頼らず、経済産業省や中小企業庁の公式サイトで最新の公募要項を必ず確認してください。
Qホームページのリニューアル時期の目安はありますか?
Aホームページのリニューアル時期に絶対的な基準はありませんが、「スマートフォン対応ができていない」「セキュリティ対策が古い」「事業内容とサイトの情報がずれている」「アクセスが減少傾向にある」といった兆候が見られたら検討のタイミングです。公開から3〜5年を一つの節目とする企業が多い印象ですが、ビジネス環境の変化が早い業種ではもっと短いサイクルで見直す必要がある場合もあります。
リニューアルのタイミングについてさらに詳しく知りたい方は、古いホームページのリニューアル時期を判断するための考え方もあわせてご覧ください。
制作会社選びは「パートナー選び」だという話
最後に、制作会社選びで最も伝えたいことを書きます。
ホームページ制作会社を選ぶという行為は、一見すると「どの業者に発注するか」という調達の問題に見えます。
しかし実務的には、「自社のデジタルマーケティングの第一歩を、誰と一緒に踏み出すか」というパートナー選びに近い。
制作が完了するまでの期間はせいぜい数ヶ月ですが、そのホームページを運用する期間は3〜5年、あるいはそれ以上です。
その長い時間軸の中で、「作って終わり」の業者なのか、「成果が出るまで一緒に改善を続けてくれるパートナー」なのか。
この違いが、最終的な成果の差を生むと私は考えています。

制作会社を選ぶ際には、こんな問いかけをしてみることをお勧めします。
「私たちの目的は〇〇ですが、この目的を踏まえると、何が課題だと思いますか?」
この質問に対してある程度の仮説を持って回答できる制作会社であれば、しっかりと話を聞いてみる価値があります。
逆に、この質問に対して曖昧な回答しかできないようであれば、別の会社にも相談してみたほうがよいかもしれません。
この記事のまとめ
・制作会社選びの失敗は「選ぶ基準がなかったこと」が根本原因
・制作会社を選ぶ前に、自社の目的・ターゲット・予算を整理する
・実績の見分け方は「同業種経験」「成果の説明力」「情報設計の精度」の3つの基準で判断する
・提案・見積もり段階で、ヒアリングの質・見積もり内訳・権利関係を確認する
・制作費の高さやデザインの美しさは、BtoBの成果と必ずしも比例しない
・制作会社は「下請け業者」ではなく「ビジネスパートナー」として選ぶ

