採用サイトの福利厚生には、どんな支援があり、誰がどの条件で使えるかを書きます。「資格取得支援」「社宅あり」と並べるだけでは、自分も使える制度なのか、応募者には判断できません。
制度の内容を人事担当者に確かめてから、短い一覧文と詳しい説明文に分けると原稿を作りやすくなります。
手元にある制度を棚卸しし、文例の対象者や申請条件を自社の内容へ置き換えていきましょう。
採用サイトの福利厚生には支援内容と使える条件を書く
採用サイトの福利厚生は、支援内容・対象者・利用条件がそろうと、入社後の暮らしや働き方と結びつけて読めます。たとえば資格取得支援なら、「会社指定の試験の受験料を負担する」と分かるだけで、何を支援する制度かが具体的です。
そのうえで、入社後いつから使えるかと、受験前の申請が必要かを添えておきましょう。同じ制度名でも内容が違うため、他社の説明文をそのまま写してはいけません。
私たちは採用原稿を整える際、制度の多さより、応募者が利用の場面を思い描けるかを基準に考えます。
「福利厚生が充実」という評価語を足す前に、その根拠になる支援と条件を一つずつ示す方針です。
ただし、福利厚生ページだけで募集職種ごとの労働条件を説明しきる必要はありません。会社共通の制度から職種別の条件へ進めるよう、採用サイトの募集要項に必要な情報と導線も合わせて整えます。
採用サイトの福利厚生原稿を作る前に人事へ確認すること
採用サイトの原稿を作る前に、現在の規程と実際の運用を人事・総務担当者へ確認しましょう。
昔の求人票や社員の記憶だけを材料にすると、対象者や申請方法が変わっていても気づけません。
人事へ渡す福利厚生の確認表
| 確認項目 | 聞くこと | 照合すること |
|---|---|---|
| 制度の内容 | 支援するもの | 規程・案内 |
| 対象者 | 雇用形態 勤務拠点 | 適用範囲 |
| 利用開始 | 入社時期 勤続条件 | 試用期間 |
| 会社の負担 | 対象費用・上限 | 本人負担 |
| 申請方法 | 窓口・必要書類 | 事前の承認 |
| 利用の実態 | 実施の有無 | 休止・変更予定 |
| 原稿の管理 | 確認者・確認日 | 更新する場所 |
表を埋めるときは、「制度がある」と「今利用できる」を分けるのが出発点です。休止している支援は利用可能な一覧から外し、再開日が決まっていないなら予定日を補って掲載するのは避けましょう。
また、社会保険の加入条件と、会社独自の支援制度の条件は別に確かめる必要がありますが、雇用区分の名前だけでは判断できません。日本年金機構の案内では、パートやアルバイトも所定労働時間などに応じて加入対象となるため、「パートは社会保険なし」と雇用区分だけで決めつけないようにします。
出典:日本年金機構「私は、パートタイマーとして勤務しています。社会保険に加入する義務はありますか」
こうした適用条件はWeb担当者だけで判断せず、人事担当者が確認した内容を原稿へ反映します。条件に不明点が残る制度は掲載を急がず、確認できた制度から先に原稿化すると進めやすいでしょう。
採用サイトの福利厚生に使える文例
採用サイトの福利厚生は、一覧で伝える一文と、利用の流れが分かる詳細文を用意すると書き分けやすくなります。以下は架空の会社を想定した説明用の文例で、実在企業やノーサイドの制度、法律上の標準条件を示すものではありません。
そのため、対象者・利用開始時期・費用負担・申請先は、自社の規程と運用に合わせて修正してから使います。制度の適用条件を変えるための例ではなく、確認済みの条件を応募者へ伝えるための文章です。
資格取得支援は対象資格と費用の範囲を伝える
資格取得支援は、対象になる資格と、会社が負担する費用の範囲を先に示します。受験料の支援なのか、講座や教材も含むのかが分からないと、応募者は実際の負担を見積もれません。
文例資格取得支援の一覧文
入社後、会社指定の資格を受験する社員を対象に、事前承認を受けた試験の受験料を1回分、会社が全額負担します。
この一覧文を詳しくするなら、試用期間中も対象になる会社という設定で、次のように説明を添えましょう。
「対象資格は配属先で案内しますので、受験を申し込む前に所属長へ申請し、承認を受けてください。」
続く精算方法は、支援の対象外になる費用と分け、対象となる受験料を受け取る手順まで伝えましょう。
文例受験料の精算方法
承認を受けた試験は、合否にかかわらず、受験後に領収書を提出すると受験料を精算できます。ただし、教材費と交通費は支援の対象に含みません。
この例は試験の合格を支援の条件にしていないため、合格者だけに支給する制度なら条件を書き直す必要があります。その条件は「資格取得支援あり」の一言に戻さず、短い一覧文にも残すと誤解を減らしやすいでしょう。
食事の支援は利用場所と本人負担を伝える
食事の支援は、誰が、どの勤務日に、どこで使えるかが分かる文章にしましょう。食堂や弁当の写真を載せても、出勤先やシフトによって利用できないなら、その条件も同じ場所に必要です。
文例会社で用意する昼食の説明
本社へ出勤する社員は、雇用区分を問わず、勤務日の昼食として会社手配の弁当を無料で利用できます。前営業日までに総務へ申し込んでください。
この文例は本社勤務日の昼食を会社が全額負担する設定で、夕食や在宅勤務日の支援は含めていません。本人負担がある制度なら、無料の部分を実際の負担額へ変更し、注文を取り消す場合の扱いも詳細欄へ添えましょう。
特に拠点ごとに内容が違う場合は、制度名のすぐ下に対象拠点を示します。
全拠点共通と受け取られるページ見出しのまま、細かな注記だけで限定する形は避けたいところです。
社宅は対象となる配属と入居条件を伝える
社宅は、利用できる人と、入居できる時点を合わせて伝えます。空室や会社の手続きによって利用の可否が変わる制度なら、「入社すれば入れる」と読める書き方にはしません。
文例借り上げ社宅の案内
転居を伴う配属が決まった社員を対象に、借り上げ社宅の利用を案内しています。利用には空室確認と事前の承認が必要なため、入居を希望する方は採用担当へご相談ください。
この例を掲載するには、本人が負担する家賃、会社が負担する費用、利用できる期間も自社の条件で補う必要があります。これらが確認できていない段階では「住居費の負担なし」「全員入居可」と書き足さないことが大切です。
なお、社宅と家賃補助は別の支援なので、片方しか実施していない場合は制度名も合わせます。引っ越し費用の支援まで含むと読めないよう、費用ごとに負担者を明らかにしておきましょう。
特別休暇は年次有給休暇との違いを伝える
会社独自の特別休暇では、年次有給休暇と別の休暇か、有給か無給かを添えると、応募者は使える日数を混同せずに読めるでしょう。厚生労働省も、企業が任意に定める特別休暇を年次有給休暇などの法定休暇と区別して案内しています。
文例リフレッシュ休暇の説明
勤続5年を迎えた社員に、年次有給休暇とは別に、連続3日の有給リフレッシュ休暇を1回付与します。この休暇は勤続5年を迎えた日から1年以内に取得できるため、取得希望日は所属長へ事前に相談してください。
この例の勤続年数・日数・取得期限は、説明用に置いた架空の条件で、自社の制度へ置き換える部分です。前後の休日とつなげられるか、分割して取得できるかなど、運用上の決まりも確認しておけば詳細文を補えます。
採用サイトの福利厚生ページは一覧から詳細へつなぐ
採用サイトの福利厚生ページは、制度を探す一覧と、条件を読む詳細をつなげて構成します。最初から全制度を長文で並べるより、応募者が気になる支援へ進める順番を用意しておきたいところです。
一覧は「学びの支援」「住まいの支援」など、実際に掲載する制度に合う見出しで分ければ十分です。
制度が少ない会社なら分類を増やさず、一つずつ具体的に説明した方が読みやすいでしょう。
求人の福利厚生の書き方は短くしても条件を残す
求人票や求人媒体へ短縮する際も、対象者と主な利用条件は残します。採用サイトで詳細を説明していても、媒体側が「全社員利用可」などと異なる条件になれば整合が取れません。
ハローワークも福利厚生・研修制度の補足情報を具体化することや、試用期間中の待遇を正確に示すことを案内しています。文字数が限られる場合は形容詞を減らし、応募者の判断が変わる条件を優先しましょう。
その一覧をスマートフォンで開いたときも、制度名の下に支援内容と条件が続けて読めるかを点検しましょう。条件だけを小さい文字や画像の中へ押し込むと見落とされやすいため、本文の文字として読める形にしておきます。
写真や社員の声は制度の説明を補う
写真や社員の声を添えるなら、実際の施設や利用した経験に限り、掲載する内容を本人にも確かめましょう。「いつ、どんな働き方で使ったか」が分かれば、制度の説明を具体的な場面で補えます。
ただし、一人の体験を全社員共通の条件へ置き換えるのは避けましょう。原稿を埋めるために発言を創作する必要はなく、素材がなければ確認済みの制度と申請方法だけでも案内できます。
採用サイトの福利厚生で避けたい表現
採用サイトの福利厚生では、応募者の判断に関わる条件が抜けた表現を見直します。次のように、曖昧な言葉を増やす前に、何が未確認なのかを特定して直しましょう。
規定あり
対象者と主な条件を、制度名のそばに示す。
誰でも使える
雇用区分・勤務地・利用開始時期を照合する。
導入予定
利用できる制度の一覧と分けて案内する。
たとえば「住宅手当あり(規定あり)」なら、支給対象と主な対象外条件まで本文へ出します。詳細な社内規程をすべて公開する必要はありませんが、応募者が自分も対象だと誤解する条件を隠すのは避けましょう。
また、「制度はあるが申請できない」「廃止済みなのに掲載している」という状態なら、表現だけ整えて掲載を続けるのは避けるべきです。採用サイトの説明と実態を合わせるため、人事へ利用可否を確認してから掲載内容を決めます。
注意条件の表示と制度の妥当性を分けて確認する
雇用区分による違いを明記しても、その違い自体が適切かどうかは別の確認です。社会保険や休暇の適用条件、社員間の待遇差は、人事担当者が法令と規程の両面から確認します。
福利厚生の説明を整えても、仕事内容や研修内容が曖昧だと、働く姿までは伝わりません。製造業なら求人キャッチコピーと仕事内容・研修の伝え方も手がかりに、制度と仕事の両方を具体化しましょう。
採用サイトの福利厚生を募集要項と同時に更新する
採用サイトの福利厚生は、制度が変わったときに、募集要項や求人媒体も一緒に更新する運用へつなげます。そのため、公開後の確認先まで決めておき、人事から変更の連絡が来た際に修正箇所をたどれるようにしましょう。
厚生労働省は、求人情報を正確かつ最新に保つことに加え、内容を変更したら自社の採用サイトを速やかに更新し、求人媒体にも反映を依頼することを示しています。確認日だけを新しくして終わらせず、反映していない条件の変更が残っていないかも確かめましょう。
出典:厚生労働省「労働者の募集ルールが変わります」(PDF)
人事・総務が確認
Web担当が反映
公開前と制度変更時の点検項目
- 掲載中の制度を現在も実施している
- 対象者・試用期間・勤務地の条件が一致している
- 本人負担と会社負担の範囲が分かる
- 申請先と利用開始時期が現行の案内と一致している
- 求人媒体・募集要項・面接で使う案内も更新した
この点検では、原稿を承認する人と、ページを直す人を決めておきましょう。同じ担当者が兼ねる場合も、制度内容の確認と掲載後の表示確認を分ければ、どこまで終わったかを記録できます。
条件を点検した後は、応募前に残りやすい質問についても、公開できる回答を福利厚生ページへ追記しましょう。
個別条件の問い合わせを受ける窓口も、採用サイトの応募フォームに必要な項目と合わせて考え、応募書類に不要な情報まで集めないよう整えます。
採用サイトの福利厚生に関するよくある質問
Q採用サイトの福利厚生には何を書けばよいですか?
A採用サイトの福利厚生には、支援内容、対象者、利用開始時期、主な利用条件と申請方法を書きます。制度名だけで終わらず、自分が使えるか判断できる説明を添えましょう。
Q福利厚生の制度が少ない会社はどう書けばよいですか?
A福利厚生の制度が少ない会社は、実施している支援の内容と利用条件を具体的に伝えます。検討中の制度や実施していない支援を増やして見せる必要はありません。
Q福利厚生は「規定あり」と書くだけでよいですか?
A福利厚生の「規定あり」だけでは、対象者や本人負担が分かりません。応募者の判断に関わる主な条件は、制度名の近くに読みやすく記載しましょう。
Q社会保険は「全員加入」と書いてもよいですか?
A社会保険の加入対象は、雇用区分の名前だけでは決まりません。人事担当者が勤務条件と加入基準を確認し、募集する職種の実際の適用条件に合わせて記載します。
Q特別休暇は年次有給休暇とどう書き分けますか?
A会社独自の特別休暇は、年次有給休暇とは別の制度として案内し、有給か無給か、対象者や取得条件も示します。休暇の日数だけを合算して、自由に使えるような表示にするのは避けましょう。
Q求人票と採用サイトで福利厚生の文章を変えてもよいですか?
A求人票と採用サイトでは文章の長さを変えられますが、制度の内容と適用条件は一致させます。短い求人票でも、対象者や主な条件を落とさないようにしましょう。
Q福利厚生ページはいつ更新すればよいですか?
A福利厚生ページは、制度や募集職種の適用条件が変わった時点で更新します。担当者と掲載先を一覧にして、募集要項や求人媒体の古い説明も一緒に修正しましょう。
使える条件が分かる福利厚生の原稿から整える
採用サイトの福利厚生は、対象者・支援内容・利用条件が確認できた制度から原稿にしていきましょう。まず一つの制度を選び、人事へ確認表を渡して、一覧文と詳しい説明文を用意するところから始められます。
福利厚生の原稿が整ったら、日々の仕事内容も同じ具体性で伝える段階へ進めます。
採用サイトの1日の流れと原稿のひな形を使い、支援制度と実際の働く姿がつながるページにしていきませんか。

