会社名や店名でGoogle検索した瞬間、入力欄に「(社名) 詐欺」「(社名) やばい」といった身に覚えのない予測ワードが並ぶ。これがいわゆるサジェスト汚染です。
見た人の第一印象を大きく左右するだけに、一刻も早く消したいと考えるのは当然です。
ところが、自分で申請して本当に通るのか、弁護士や業者に頼むべきか、「消します」と電話してくる業者に高いお金を払って大丈夫なのか。
判断材料がないまま、動けずに止まってしまう方は少なくありません。
この記事では、まず無料でできる公式の削除申請の手順と、通りやすい申請文の型を示します。
そのうえで、申請が通らなかったときの進め方、そして「消します」営業に騙されないための判断基準まで、動ける順番で整理していきます。
そもそも、なぜ急ぐ必要があるのか。
会社名のサジェストは、取引前の相手・応募を考える求職者・既存のお客様が最初に目にする情報だからです。
ネガティブな予測ワードを放置すると、問い合わせの手前で離脱されたり、応募をためらわせたりと、売上・採用・信頼の各面でじわじわ効いてきます。
クリックされなくても、並んでいるだけでマイナスの印象を与えてしまう。気づいた時点で動くほど、選択肢も費用も有利になります。
会社名で検索したら出る嫌な予測ワード、まず確かめること
そもそもサジェスト(オートコンプリート)は何から作られるのか
Googleの検索候補は、正式にはオートコンプリートと呼ばれる機能で、入力中の文字に対して続きを予測して提案します。
Google公式の説明によると、候補は実際の検索の傾向・入力時の言語・検索している場所・過去の検索などをもとに自動で表示されます。
つまり誰かが手で書いているわけではなく、ネット上の検索行動を反映した予測にすぎません。
ここが対策を考えるうえでの出発点になります。
候補は「検索された量」を映す鏡のようなもので、ネガティブワードを生み出している動き(投稿や検索)が残っている限り、一度消してもまた出やすい。この前提を押さえておくと、後の判断がぶれません。
「自分だけに見えている」だけかもしれない
動き出す前に、ぜひ確かめてほしいことがあります。
Googleの候補は位置情報や過去の検索履歴でパーソナライズされるため、同じ会社名でもユーザーごとに違う候補が表示されます。
自分の端末で何度もそのワードを検索していると、その履歴のせいで自分にだけ嫌な候補が出ているケースがあります。
全体に広がった汚染なのか、自分の画面だけの現象なのかを切り分けないと、不要な対策に費用をかけてしまいます。
メモシークレットウィンドウで検索する、別の端末やスマホ回線で見る、Googleアカウントからログアウトする、位置情報をオフにする。これで候補が出なければ、自分の画面だけの現象の可能性が高いです。
そのうえで、動き出す前に最低限そろえておきたいのが次の確認です。
- 別端末やシークレットモード、ログアウト状態でも同じ候補が出るか確認した
- 問題の候補をスクリーンショットで日時つきに保存した
- その候補が虚偽なのか、事実に基づくのかを整理した
- ネガティブワードの発生源(掲示板・口コミ等)に心当たりがあるか洗い出した
なお、サジェスト汚染と、業者がよく売り込む「独占表示対策」は別の話です。
違いがあいまいなまま相談すると話がかみ合わないため、サジェスト汚染と独占表示対策の違いも先に押さえておくと理解が早くなります。
消せるサジェストと消せないサジェストの線引き
Googleが削除するのはどんな候補か
Googleは、すべてのネガティブな候補を消してくれるわけではありません。ここを誤解したまま申請すると、徒労に終わりがちです。
公式のオートコンプリートポリシーで削除対象になるのは、暴力的・露骨な性表現・ヘイト(差別)・中傷・危険や違法にあたる候補です。
これらに該当すると判断されれば、報告や申請によって削除される可能性があります。
削除されやすい候補と されにくい候補
| 候補のタイプ | 具体例 | 削除のされやすさ |
|---|---|---|
| ポリシー違反 | 犯罪・差別・性的・名誉毀損 | 比較的されやすい |
| 事実に基づく | 実際の不祥事・公知の事実 | されにくい |
| 印象が悪いだけ | 「高い」「やめとけ」 | されにくい |
「ただ印象が悪い」だけでは消えない理由
相談の場でよく誤解されているのが、「ネガティブだから消える」という考え方です。
Google公式や複数の専門家の解説でも、「事実無根である」「印象が悪い」というだけでは削除されにくいとされています。
候補が多く検索されている限り、Googleはそれを自然なトレンドとみなすためです。
注意消す対象を間違えると費用と時間を浪費する
ポリシー違反でも法的根拠でもない「ただ印象が悪いだけ」の候補に削除申請を繰り返しても、通らないまま時間だけが過ぎます。消せる候補かどうかの仕分けが先です。
だからこそ、まずは消すべき候補かどうかを仕分けることが先決です。
ポリシー違反にあたるか、名誉毀損などの法的根拠を組み立てられるか。この2つのどちらにも当てはまらない候補は、削除申請より発生源対策に切り替えた方が現実的です。

自社で無料でできる公式の削除申請手順
要点削除申請は無料で自分でできる
Googleへの削除申請は本人なら無料で行え、入口は2つに分かれます。
軽い「検索候補の報告」と、本命の「法的削除リクエスト」です。
【手順1】検索候補の報告(軽い入口・ただし削除保証なし)
1つ目は検索候補の報告です。
スマホのGoogleアプリやgoogle.comなら、消したい候補を長押しして「報告する」を選ぶだけ。パソコンでは、検索欄の下に並ぶ候補にカーソルを合わせると、報告の導線が表示されます。
ただし、ここには大きな注意点があります。
Google公式は「報告いただいた内容は確認するが、候補が削除されないこともある」と明記しており、個別の回答も、削除の保証もありません。
出典: Google公式 オートコンプリート予測の管理・報告
そのため報告は「出して終わり」にせず、次の法的削除リクエストと並行して進めるのが実務的です。
【手順2】法的削除リクエストと、通りやすい申請文の型
2つ目が本命の法的削除リクエストです。
Googleの「法的な理由による削除」の窓口から「Google検索」を選び、続けて「名誉毀損」または「オートコンプリートまたは関連検索キーワード」を選んで申請します。
ここで結果を分けるのが、申請文の中身です。
「事実無根です」「困っています」とだけ書いても通りにくいのが実情で、感情ではなく、法的根拠と証拠で組み立てるのが基本になります。
具体的には、申請文に次の5つの要素をそろえると、判断する側に趣旨が伝わりやすくなります。
- 対象の候補(完全に一致する文字列)とスクリーンショット
- なぜ虚偽または権利侵害なのか(事実関係の説明)
- 該当する法的根拠(名誉毀損による社会的評価の低下・プライバシー侵害など)
- Googleのどのポリシーに該当するか
- 求める対応(その候補と、関連する類似候補の削除)
この5点を1通にまとめておくと、たとえ却下されても「何が足りなかったか」を振り返りやすく、再申請の組み立て直しが早くなります。
Yahoo!やBingの検索候補はどうするか
検索される量から見れば、まず手を打つべきは利用者が最も多いGoogleです。
ただし、Yahoo!やBing(Microsoftの検索エンジン)にも、検索候補やコンテンツに関する報告・削除の申請窓口は用意されています。
考え方はGoogleと同じで、法的根拠と証拠をそろえて申請するのが基本です。
ただし各社の申請フォームや手順は変わることがあるため、実際に申請する際は各検索エンジンの公式ヘルプで最新の窓口を必ず確認してください。
申請が通らなかったときの進め方
却下理由を切り分けて組み立て直す
申請が却下されても、そこで終わりではありません。
却下の理由は大きく「ポリシーに該当しない」か「法的根拠が足りない」の2つに分かれるため、まずどちらなのかを見極めます。
ポリシー非該当なら、削除そのものより発生源対策へ軸を移す。
法的根拠が足りないなら、証拠(投稿の保存・被害の実態)を積み増して再申請するか、ネット問題に強い弁護士へ相談する。却下理由に応じて打ち手を変えるのがポイントです。
注意サジェスト削除は裁判でも認められにくい
過去には、個人名の検索で身に覚えのない候補が出た事案で、東京地裁が仮処分(裁判の最終決着を待たずに暫定的な対応を求める手続き)でGoogle側に対応を求めた例があります。ただしその後の高裁・最高裁では請求が認められませんでした。サジェストは機械的に表示される「単語の羅列」とされ、削除を命じるハードルは高いのが実情です。
弁護士に頼む場合の費用と期間の現実的な目安
弁護士に依頼する場合の費用は、事務所によって大きく異なります。
あくまで一例ですが、ある法律事務所の料金表では削除請求の着手金が約5万5千円(税込)、裁判や仮処分の手続きを使う場合は1件あたり約16万5千円(税込)の追加着手金、といった設定です。
裁判所を使う仮処分では、これとは別に担保金(業界の目安で約10〜30万円)を一時的に預ける必要が出ることもあります。
期間も数週間から数か月、場合によってはそれ以上かかります。
対応ルート別の費用と期間の目安
| 対応ルート | 費用の目安 | 期間・特徴 |
|---|---|---|
| 自分で公式申請 | 無料 | 数週間〜数か月・保証なし |
| 弁護士に相談 | 着手金 約5.5万円〜(一例) | 法的に固めやすい |
| 仮処分など裁判手続き | 追加着手金 約16.5万円/件+担保金 約10〜30万円 | 削除自体は認められにくい |
経営の数字を見てきた立場から言えば、ここで大切なのは「費用と時間をどこまでかけられるか」を最初に決めておくことです。
そこさえ固まれば、無料申請で粘るのか、早めに弁護士へ切り替えるのか、判断がぶれなくなります。
「サジェスト消します」という営業電話に騙されない判断基準
ここからが、多くの経営者が一番不安に感じる部分です。
「御社のサジェスト、消せますよ」「今なら1エリア1社限定で対策できます」。こうした営業の電話やメールを受け取った経験のある方もいるはずです。
代理で申請する業者は違法になり得る(非弁行為)
まず知っておきたいのが、本人に代わって削除申請を「代理・代行」する業者は、弁護士法72条の非弁行為にあたり得るという点です。
非弁行為とは、ざっくり言えば弁護士でない人が報酬をもらって法律の手続きを代わりに行うことで、法律で禁じられています。
実際に、削除代行の契約が弁護士法72条に違反して無効と判断され、支払った報酬 約49万円の返還が命じられた裁判例(東京地判平成29年2月20日)もあります。
この条文に違反すると2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金の対象です。
依頼した側に刑事罰が及ぶわけではありません。
ただし、契約が無効で返金トラブルになったり、弁護士名を装った申請が発覚して炎上したりと、リスクを引き受けるのは依頼した会社の方です。技術的にも、本人や弁護士でない第三者が「確実に消す」ことはできません。この点は検索サジェスト独占表示対策の嘘とリスクでも掘り下げています。
回避
「代理で削除申請します」と手続きを代行する
本人の削除請求を代理する行為は非弁行為の恐れがあります
「必ず消せます」「100%削除」と保証する
削除はGoogleや裁判所の判断であり、結果を保証できる立場はありません
「1エリア1社限定」「今だけ」と即決を迫る
希少性をあおって冷静な比較をさせない典型的な手口です
契約前に確認する5つのチェック
「対策」をうたう業者がすべて悪いわけではありません。
サジェストそのものを消すのではなく、SEOやコンテンツでネガティブワードを目立たなくする「対策」を行う会社も存在します。ただし、これは削除とは別物で、効果も保証されるものではありません。
依頼するかどうかは、次の5点を書面で確認してから決めてください。
- 手続きを「代理・代行」していないか(申請の主体が本人か弁護士か)
- 「削除」なのか「目立たなくする対策」なのか、成果の定義が明確か
- 何をもって成果とし、いつまでに・どこまでやるかが書面にあるか
- 月額・初期費用・解約条件が明記され、相場(月 約5〜7万円が一つの目安)とかけ離れていないか
- 運営主体と実績が確認でき、過度な希少性や即決をあおっていないか
営業トークの具体的な見抜き方は、サジェスト対策 営業は詐欺?「1エリア1社限定」の嘘を見抜く5つのチェックリストでさらに詳しく整理しています。
もし、受け取った提案が妥当かどうか自社だけでは判断がつかない場合は、契約前に第三者の目で一度整理しておくと安心です。当社でも、こうした業者提案の交通整理のご相談を承っていますので、迷われたときはお気軽にお問い合わせください。
消しても再発させないために、発生源とAI検索時代に備える
ネガティブワードの発生源を減らし、正しい情報を増やす
候補が検索行動や投稿から自動生成される以上、発生源が残っていれば、消してもまた出てきます。
掲示板やSNS、口コミサイトに繰り返し書かれた投稿、あるいは特定ワードでの検索が集中している状態。
こうした発生源に心当たりがあれば、投稿の削除依頼や、必要に応じて発信者情報開示(書き込んだ人を特定するための手続き)など、源を断つ動きを削除申請と並行して進めます。
並行して効くこと
自社発の正確な情報を増やす
公式サイトや採用ページで、会社の実態を自分の言葉で発信する
社名+前向きな文脈のコンテンツを継続する
事例・実績・代表の発信など、ポジティブな検索文脈を積み上げる
定期的に候補を確認する
シークレットモードで月に一度は見て、再発を早期に見つける
自社発信を資産として積み上げていく考え方は、オウンドメディアとは?自社ブログがなぜ強力な営業ツールになるのかで整理しています。
AI検索(AI Overview・生成AI)が広がる今の備え
もう1つ、これから無視できないのがAI Overviewや生成AIによる検索の広がりです。
サジェストを消せたとしても、ChatGPTやAI Overviewのような生成AIは、ネット上のネガティブな口コミや記事を引用して回答することがあります。
つまり、予測ワードを消すだけでは、負の関連情報そのものは残るということです。
だからこそ、サジェスト削除を入口にしつつ、最終的には自社の正しい情報をネット上に整え、AIに正しく引用される状態をつくることが、これからの守りの本筋になります。
まずは今日、自社名で一度シークレット検索をして、消すべき候補と、増やすべき情報を切り分けるところから始めてみてください。
よくある質問
QGoogleサジェストは自分で無料で削除申請できますか?
Aできます。検索候補下の「報告」と、Googleの法的削除リクエストフォームのどちらも、本人なら無料で申請できます。ただし削除は保証されません。
Qどんなサジェストなら削除が通りやすいですか?
A暴力・性的・差別・中傷・危険や違法などGoogleのポリシーに該当する候補や、名誉毀損・プライバシー侵害として法的根拠を示せる候補は通る可能性があります。印象が悪いだけでは通りにくいです。
Q「サジェストを消します」と営業してくる業者に頼んで大丈夫ですか?
A本人に代わって削除申請を代理・代行する業者は弁護士法72条の非弁行為にあたり得ます。契約が無効と判断され報酬返還が命じられた裁判例もあります。手続きの主体は本人か弁護士に限られます。
Q申請が却下されたら次に何をすべきですか?
A却下理由を「ポリシー非該当」か「法的根拠不足」かで切り分けます。証拠を積み増して再申請するか、ネット問題に強い弁護士へ相談し、発信者情報開示など発生源対策へ軸を移すのが現実的です。
Qサジェスト削除に弁護士を使うといくらかかりますか?
A事務所により異なります。一例では削除請求の着手金が約5.5万円(税込)、裁判・仮処分の追加着手金が1件約16.5万円(税込)などです。仮処分では別途、担保金(業界の目安で約10〜30万円)が必要になる場合があります。
Q裁判をすればサジェストは確実に消せますか?
Aいいえ。サジェストは機械的に表示される「単語の羅列」とされ、削除請求は裁判でも認められにくい傾向です。仮処分の後に高裁・最高裁で覆った例もあります。発生源の投稿削除の方が現実的なことが多いです。
Q消してもまた表示されるのはなぜですか?
A候補は実際の検索行動やネット上の投稿から自動生成されるため、発生源(掲示板・口コミ・検索の集中)が残っていると再表示します。発生源の削除と前向きな情報発信を並行し、再発を定期監視することが必要です。

